第31話閑話 ある下男side
嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ。
こんなのは現実じゃない。
俺は何も悪くない!
凄まじい絶叫が鳴り響く。
耳をふさぎたいのに縄で締めくくられ拘束されているからそれも出来ない!
痛みでのたうち回る
次は俺達の番だ!
いっそ、舌を噛み切って死んでやろうかと考えたが、察しのいい男に布切れを口に突っ込まれてしまった!腰に刀を下げているからてっきり武士かと思ったら蔵人の中将様ときた。
なんでそんなお偉いさんがいるんだ!
そもそも、なんだって二の宮様がいるんだ!
ここの
いや、問題は、あの二の宮様だ!
あれは
確か、
未だってそうだ。
凍り付きそうなほど冷たい顔で、苦しんでいる
ぞっとする。
あれが子供のする顔か?
俺にだって妻子がいる。子供は可愛い盛りの五歳だ。
だがな、あんな大人のような表情はしない!
冷めた目で見たりしない!
運悪く顔が俺のいる方向に向いていた。
苦しみに歪み切った顔だ。
二の宮様が蔵人の中将様と何やら話し込んでいる。
なんだ。
何が起こるんだ?
「誰か、
蔵人の中将様の言葉に一瞬何を言われたのか理解できなかった。
手当……?
助けるのか?
なら、俺も助かるのか?
「二の宮様の命令だ。賊を楽にしてやるつもりは毛頭ない。二度と犯罪が出来ないように体にする」
先に動いたのは僧達だった。
仲間の誰も一言も発する事が出来ない。
俺達を憎悪の目で見る女たち。
遥か高みで見下す皇子と中将。
ふざけるな…ふざけるな、ふざけるな、ふざけるな!!!
俺達が何したっていうんだ!
ただちょっと羽目を外しただけだろ!?
ここまでされるほどの罪じゃないはずだ!
ああ、てめえらはいいだろう。
高い身分で、良い着物着て、良いもの食って、良い女を侍らせて!
下っ端にとっちゃあ夢のまた夢だ!
一度くらいいい夢見たっていいじゃねえか!!!
せっかく、
くそっ!!!
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