第20話都合のいい女
数日後――
結局、元
蔵人の中将は、あの後も、元
もしかしなくても蔵人の中将って鈍い?
たしか大臣の息子だって聞いたけど無能?
いや。それは無いか。
ムッチャ博識だし、腕も立つし、なにより僕の幼児語を理解できる数少ない人物だ。無能なわけがない。寧ろ、有能だ。
「ちゅうきょう、こーひは?(訳:中将、更衣は?)」
「はい、主上からのお呼びがかかったとかで、出かけております」
呼び出し?
嫌な予感がする。
二時間ほどして元
蔵人の中将の顔も真っ赤だ。
「こ…こういさま…その……」
「よくあることでございます」
「え……」
「お上は、
「「……」」
「私は比較的早くに入内しておりまして、主上とも長い付き合いでございます。気心がしれた間柄と、私が勝手に思い上がっておりましたが、
ひでぇ。
よくもまぁ、そんなことを言えたもんだ。
てめぇが追い出しといて。
しかも部屋を乗っ取った相手の話し相手になれって……。
「北山でのお暮らしを大変気に入っていらっしゃる主上ですが、僧の方々から苦情を受けていた事も事実です。二の宮様や蔵人の中将様がご注進された
「「……」」
つっこめね~~~~!
なんなのそれ?
完全に『都合のいい女』扱いじゃん!
蔵人の中将なんて真っ赤だった顔が真っ青になっちゃてるし、「あ…」だの「その‥‥」だの言ってる。言葉に出きない状態だ。
あああああ!
僧都たちの苦情を聞いたから、父帝に、まぐわう回数を減らすように進言したら「出来ない」の一択の答えしか返ってこなかった。
仕方なく、スルときは「布を口にくわえること」を条件にしたのが裏目に出た。
まさか、自分の父親に
元
楚々っとした控えめな美女。
父帝の好みなんだろう。
桐壺の更衣が『儚げな美少女』だから。
こういった弱弱しい女性に加虐する趣味があったとは…夢にも思わなかった。
蔵人の中将なんて、すっかり元
この分じゃあ、御所に戻ったら更なる両親の悪評が広まるのは決定したな。
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