守護者と英雄と絆の物語

仲仁へび(旧:離久)

第1話




 その彼は、世界を守る守護者だった。


 世界の外からやってきた者がいれば、剣をとって戦う。


 そんな存在だった。


 人々からの信頼は厚く、多くの力と善意を得て活動していた。


 しかし、そんな存在に魔の手が忍び寄る。


 人々を天井から見守る存在、神。


 その神達の一人が、悪の心を持った。


 とある神ライフストーンが、人々を滅ぼそうとしていた。


 守護者はそれに立ち向かうが、人と神の身ではどうしようもなかった。


 力及ばず、命を落としてしまう。


 しかし、彼がかせいだ時間は決して無駄ではなかった。


 神々が力を合わせて、ライフストーンを封印したからだ。


 そして、長い時が流れる。

 






 それから数百年後の時代。


 その時代に、ライフストーンの封印がほころび始めていた。


 悪しき神が残した破壊の爪痕が、ほとんど癒えた頃合いだった。


 ライフストーンは一人の孤独な王に目をつけて、その心に語り掛けた。


 様々な陰謀で命を狙われた王は、心を病んでいた。


 絶対の味方を欲しいと思っていた。


 そんな王の心に付け込んだライフストーン。


 王は、たやすく術中にはまった。


 そして、そそのかされて悪の行動を繰り返し、最終的にライフストーンの封印を壊してしまうのだった。


 その行いのせいで、再び世の中に、悪の神が解き放たれてしまう惨事に発展した。


 用済みになった王は、ライフストーンにたやすく殺害されてしまい、その後、国は数日で滅びた。






 脅威が再びその世界に出現した頃、人々は新たな英雄に剣を託していた。


 それはかつての守護者の、その子孫であった。


 英雄は人々から与えられた剣を手にして立ち上がる。


 長い間封印されていた影響で、その悪神ライフストーンが自由に活動できなかったのが幸い。


 時間的な猶予は幸いにも長かった。


 英雄は、仲間をあつめ、力をつけて、神の前にたちふさがった。


 そして、他の神達と力を合わせて、今度は完全にライフストーンを討伐したのだった。


 その道のりは決して長くはなく、英雄になった者が子供から老人へ変貌するまでの時間がかかった。


 しかし、英雄は一人ではなかった。


 様々な物達が、その背中をささえ、時に前に立ち導き、傷を癒した。


 先人の守護者が残した技と知識。


 神々が施した祝福も力になった。


 だから、英雄はかつ事ができたのだ。


 それは、一人でいたライフストーンには理解できないもの。


 人々と神、多くの味方と紡いだ絆があってこその勝利だった。


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守護者と英雄と絆の物語 仲仁へび(旧:離久) @howaito3032

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