ある男のある1日

有闇コースケ

ある男のある1日

 僕はこの日が死ぬほど嫌いだ。

 それはたまたまこの日が雨天だからではない、毎年この日が嫌いだ。

 その理由は学生時代にある今からそれを話そう。















 この日の前日の10年前、僕は当時に付き合ってた彼女の家に居た。

「今日は両親が居ないんでしょ?」

「いないよ旅行に行ってるから」

 僕が夕食を作るよと言うと彼女は大丈夫なのと言う様な顔で見ていた。

 それはそのはず僕が毎回、当たりはずれのある独自の料理を作るからだ。

 僕は自信が今日はあった元の料理に少しアレンジを加えるだけだから。





 僕はキッチンに立ち、野菜とウインナーを

切り、パスタをゆでる。

「紘くん、今日はパスタをつかうんだね?」

「使うよ、先に言っとくけど今日は自信があるよ」

 思わず笑みがこぼれた僕。

 パスタを鍋から出して、湯切りをしパスタを切る。

 僕は冷やご飯をレンジで解凍しフライパンにご飯とパスタを入れケチャップを加え炒め始める。

 僕はそう言えば付き合ってもう1年たったけ?って彼女に問いかけた。




「もうすぐで1年だよ」

 彼女は嬉しそうな顔を浮かべる。

 僕はもう1年か早いなと思った。

 フライパンに野菜とウインナーを加える。

「なら明日もうすぐ1年だし祝おうよ」

 彼女が祝うの早くないというので僕は即答した、いつどうなるか分からないから明日お祝いしたいんだって。



 彼女が紘くんがやりたいなら良いよとつぶやきほほ笑みを浮かべた。

 僕はフライパンの中の具材を卵で包み込んで、卵にケチャップをかけ、それを皿に盛り付けて彼女の目の前に置いた。

「見た目はオムライスだね! 料理目は何?」

「オムナパライスです、食べてみて」

 彼女と僕は向かい合って椅子に座る。 

 彼女はほほ笑んで料理を1口食べて、美味しいねとつぶやき感想を続けて言う。

「卵がふわトロでご飯とパスタはそば飯の様に絡み合ってるよ」

 僕はそうだろとつぶやく。

 彼女はそれと玉ねぎの甘みが出ていて、ウィンナーのパリッとしているとつぶやいた。

彼女が完食したので僕は思わずにやけたこれは合格だと思い。

彼女は僕とハイタッチをしたこれは合格のサインだ。

 その後、ご褒美だと言い僕の頬にチュッとキスをした。

 僕は皿を持ち立ち上がりキッチンで皿洗いを始める。

 彼女が問いかける紘くんは食べないのって、僕は昼にでか盛りに挑戦したから食べれらないと答える。

 皿洗いを終え僕と彼女は一緒に風呂に入り体と髪を洗いあいをした。

 その後風呂を出て僕はソファーに座り彼女の髪をドライヤーで乾かす。

 髪を乾かして僕たちは彼女の両親がいないので彼女の部屋で、一緒に寝ることにし僕たちはおやすみのキスをして、ベッドで眠り夜を明かした。











 

 次の日、僕は悲報を知ることになる。

 僕は彼女の自宅からいったん、自分の自宅に走って帰宅した。

 できるなら彼女とずっと居たいと思ってる僕が、なぜ帰ったかそれは彼女に渡すプレゼントが自宅にあるからだ。

 僕は自室に入り机の上に置いていたプレゼントを持ち、彼女の自宅に向かう。

 彼女の自宅に着くと規制線が張られていて大勢の警察官がいた。

 僕は野次馬をかき分けて進み、規制線の手前に立ち目の前に居る警察官に問いかける。

「何かあったんですか?」

「殺人事件だよ」

「被害者は誰?」

「あなたは誰ですか? 被害者との関係は?」

「葉山紘、17歳被害者かもしれない人の彼氏です」

 その警察官は警部を呼び説明をした。

 警部は僕が真剣な顔をしている様に、感じたのか事件の事を話し始める。

「被害者は林菜那さん残念ながら——」

 僕はその先の事は聞きたくなかったので、警部の言葉を遮って問いかけた、菜那はどこに居るんですって。

 警部は答えるここの近くにある大学病院に居ますと。

 僕はありがとうございましたと言い、近くの大学病院に走って向かった。





 僕が病院の中をうつむきながら歩いていると、誰かに肩をたたかれて僕は振り返って見ると彼女の親友の美央だった。

「紘さん、何してるんです?」

「美央こそどうした?」

 美央は弟が骨折したのでお見舞いですよっと答える。

 じゃあなと言い僕はエレベーターに乗り地下に向かった。



 僕は病院職員に林菜那さんはどこにいますと尋ねる。

 職員が右に歩いて4部屋目だと答えたので、僕は4部屋目の霊安室に入室した。

 彼女の顔に被せていた白い布をめくり、彼女の顔を見て涙が僕の頬を伝った。

 すぐに白い布を彼女の顔に掛け直し、霊安室を出て階段で屋上に向かった僕。

 屋上に出ると土砂降りの雨が降っていて、それを見て僕はまるで僕の心情の様な空模様だなと思う。 

 まぁこれが最後の景色でも良いかと僕はつぶやく。

 僕が屋上の端に向かって歩いていると後ろからドアがガチャっと開く音と叫び声がした。

「何する気!?」

 僕は歩みを止める。

「彼女が死んだ、だから生きてる理由が無くなったから飛び降りるんだよ!!」

「つらいのは分かります、でも飛び降りたら駄目です!」

 僕は振り返った。

「はぁ! 美央にこの気持ち分からないだろ!!」

 美央は無言で近寄ってきて僕の頬にビンタをした。

「菜那ちゃんは私も大切な存在です! 紘さん私の顔を見てください!」

 僕が美央の顔を見ると涙があふれ出ていた。

「悲しのは分かったけど、菜那がいない世界に未練はないから僕は死ぬ!!」

「菜那ちゃんがあなたに死んでほしいと思うんですか!?」 

 思わないなと僕はつぶやく。

「でもどうしたら良いんだよ! この喪失感は!!」

「私じゃ喪失感は埋められないと思うけどなんでもします!」

 それならこんな事もか!?と言い僕は美央を押し倒した。

 それで喪失感がなくなら良いですよでもそんな事はしないと思います、紘さんはと真剣な顔で美央は言った。

「僕のこと信用してるんだなその通り、しないよ」

 僕と美央は立ち上がる。

「一緒に菜那の分まで生きましょう」

 美央は僕を抱きしめた。

「また死にたくなるかもしれないからその時は電話して良いか?」

「はい、今は思い切り泣いて良いですよ」

 そう言われて涙があふれ出し、僕と美央は涙が止まるまで2人で泣いた。

 僕と美央の涙が止まると同時に雨が止み、空には虹が架かっていた。











 それから10日後にお葬式があったが僕は出席しなかった、それはまた心の整理がついてなかったからだ。

 美央は出席していたらしく僕は菜那が書いた手紙を美央に渡された。

 その手紙を僕は公園のベンチで開けたその手紙には、

「紘くんがこの手紙を読んでるって事は、わたしはこの世にはいません、死んだ理由は分からないけどいつ何が起こるか分からないから書きました、アレンジ料理を食べるのは楽しかったよ当たりはずれあったけど、それと別に他の女の子と付き合っても良いよ短いけどごめんね、大好きだよバイバイ」と書かれていた。

 やっぱり当たりはずれあったんだなと思い僕は笑みが零れた。

 僕は思う本当に分かってる手紙に書いてくれて無かったら他の人とは付き合うとか一生はしないつもりだったから。 

 僕も大好きだとボソッとつぶやくと涙が頬を伝った僕。

 僕は立ち上がり頑張って生きる事を決意した。 












 

 菜那が亡くなった日の10年後の今も雨が降っている。

 この日は嫌いだが雨は好きだなぜなら僕の気持ちに寄り添ってくれてる気がするからだ。

 菜那の命日にはオムナパライスを美央と2人で食べている。

 美央とは高校の時は付き合ってるとうわさされていたが、ただの友達だった付き合ったのは大学生になってからだ、今は美央と結婚している。

 菜那を亡くした傷は癒えていないが、今のこの日々は幸せだと思う。

 だから僕はこの日々が続く事を願っている。

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