午前二時
星 太一
1
結局、都市伝説というものは人の作った面白おかしいお話というだけで、現実に存在などするわけはないのでした。
世界一怪奇現象が発生する町とか皆が大口叩いて言うものですから、余計な期待をしてしまっただけで。ああ、何もかもが徒労に終わりました。わざわざこんな時間に寒空の下、母を騙し、こんな格好をしてまで駆けてきたというのに。
私の期待するものはどこにもなかった。
もうお終いです。
「それは私に会えた……それじゃあ意味には成り得ませんか?」
なりましょうか。私が期待していたのは未来を見せる鏡です。これからの私を映す鏡。それ以外には正直興味がありません。
「それでは何故、貴方は未来を見たがるのですか? 未来を見たってどうせ運命は変えられない。同じ道を行くだけだというのに」
……貴方にはどうせ分かりますまい。この紙きれが握る私の苦労と、私の心労を。
私はこの大学に受からなければもう、死ぬしかないんです。
「どうぞ続けて」
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