第22話 裸でごめんね。
お孫ちゃんをお泊まりで預かったデバ夫婦。
朝からワクワクが止まらない。
家中を掃除して、布団を干して……。
お孫ちゃん専用の電気ケトルをセット。
ミルクオンリーの赤ちゃんだから出来るお泊まり。
二ヶ月だから出来るお泊まり。
寝ない時は抱っこ紐で縦抱きにしてね。
娘に言われて焦るデバネズミ。
首がすわってないのに、縦抱きですか?
縦抱きすれば三分以内に寝るとの返答。
ミルクをあげる。おむつを替える。
たくさん話しかける。
新生児微笑から意志ある笑顔。
「目に入れても痛くないね」
入れた事などないけど、そのくらい
愛おしい。娘が帰ったあと、
ほっぺにキスしまくった。こっそり。
可愛くて可愛くてたまらないのだよ。
誕生した時の倍の体重。
大きくなった。まあるくなった。
足の力も強くなって、小さすぎるベビーバスをやめ
一緒にお風呂に入ろうとする夫。
いいのか! いいよね? 孫だもの。
裸でごめんね
夫の膝の上で洗われるお孫ちゃん。
ご満悦でほっとする、爺と婆。
湯上がりにミルクを飲んで、
寝ぐずる二ヶ月。
抱っこ紐を使わずに夫が眠りに誘う。
娘もこうして眠りに入ったな。
夫の得意技。黄金の腕と呼ぼう。
寝顔が娘にそっくりで、なぜかジンってなる。
自分の子の時は余裕がなくて……。
一緒に泣いていた記憶。ごめんね。
翌朝、娘夫婦が迎えに来ました。
「お昼ご飯は?」「いらない」
もっともっと一緒にいたかった。
慌てて財布からお金を取り出す。
裸でごめんね。
帰りに何か買うか、食べて行きなさい。
千円札を三枚、婿さんに渡す。
「お世話になりました。また来ます」
笑顔で手を振るデバネズミ。
すぐ会える距離なのに、幸年期なのに……。
電気ケトル、ベビー布団を片付けてたら
ポロリって涙がこぼれた。
この涙に名前が欲しいデバネズミ。
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