第18話 誕生秘話 お孫ちゃん編 1
赤ちゃんが出来たと報告があったのはまだ寒い時期。つわりも軽く六月いっぱいまで仕事をこなしてやっと臨月を迎えた娘。
妊娠中毒症もなく、赤ちゃんも順調っていう連絡を受けるたび、胸を撫で下ろすデバネズミ。抱っこ出来る日を楽しみにしていた矢先、夫の携帯電話が鳴った。
それは予定日の一週間前。
「それはまずいな……発熱外来に連絡とって……かかりつけ医は?」
普段冷静な夫の声が大きい。発熱外来? コロナ? 私の心臓はバクバクする。電話を切った夫から詳細が聞かされる。お婿さんが発熱。
「今から行く? 私たちが病院に連れて行く?」プチパニックのデバネズミ。
夫の答えはノー。陽性かもしれない婿さんに接触することはリスク大だと止められた。娘の里帰りの時期に健康で迎えることを第一に考えろ!って叱られた。
検査の結果、婿さん陽性。(泣)看病していた娘も絶対に陽性だ。二、三日中に発熱して咳が出て、体力がなくなって……。悪い方に思考が進む(泣)熱が出る前にそばに行ってあげたい。娘の代わりに私が婿さんの看病をすると夫に懇願するも、お前は動くな!の一点張り。
保健所の対応は早く、婿さんが陽性と分かった途端、症状がなくても娘のPCR 検査をしてくれた。結果は陰性。同居して看病して陰性? 私はまだ安心出来ないでいた。一番不安なのは娘だよね。いつ来るか分からない陣痛で不安といつ罹るか分からない不安で寝不足だよね。
心配していたら、案の定、陣痛が!
📩夜中1時から10分間隔で痛い。あまりに痛くて5分間隔になったので病院に行ったよ。子宮口は1センチしか開いてないので帰らされた。陣痛止まった。
📩また腰の痛みがひどくて病院に。子宮口三センチ。本陣痛になりそうもないので、子宮口を柔らかくされて帰宅です。赤ちゃんの回旋が悪いらしい。
こんなメールが続く。陣痛が来て病院に行くけれど、帰る。臨月あるある。ただ違うのは濃厚接触者ということ。陣痛で苦しんでいるのに、PCR検査。病棟も産科ではなく、コロナ病棟だ。ここに来て産科医ではない不安。
「妊婦さんが陰性なら自然分娩、陽性なら帝王切開です」
───ギャンブルお産。金造の呪いですか! 自然分娩をイメージしてきたであろうに、出産寸前の検査結果しだいってストレスだろうな。
婿さんが発熱した日から、娘は看病はもちろん、保健所や病院への連絡、自身の陣痛で寝不足だった。その中で感染しないように気をつけ、一人で耐えたのは偉いなって思う。
出産当日。朝から夜まで全く連絡がなかった。本陣痛が来て病院に行けたのか、陰性なのか陽性なのか? 自然分娩なのか帝王切開なのか?
こちらから連絡しても一切返事がない。
「前駆陣痛から本陣痛になるまで気長にお待ち下さい!」
この言葉を最後に丸一日連絡がなくて夫と二人でヤキモキした。
夜23時。LINEの通知音が聞こえた。
次回、『娘よ、あなたも陣痛促進剤ですか?!』
『泣き虫の母親、メンタル強しの娘』
『お皿が真っ二つに割れたんですが!』の3本です。
乞うご期待!
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