第5話 金曜日

 週末もまじかの金曜日。

 週三日のパートの最後の日。

 いつものようにたんたんと品だしと開店準備をする。

 こうやって決められたルーティンをこなす作業のほうが私は得意だ。

 クリエイティブな仕事なんて私には無理かな。

 旦那の孝司君はプラモデルやイラストなんかが趣味なんだけど、そういうのが趣味にできるのははっきりといってすごいと思う。


 仕事が終わって、三月なのにまだまだ寒い今日。私のお昼ご飯は昨日のおでんだ。関西こっちでは関東炊きって呼ぶ人もいる。孝司君に聞いたらもともと関東の料理だったかららしい。諸説ありだけどね。


 家に帰り、冷蔵庫からタッパーに入ったおでんを取りだし、鍋にいれかえる。火をつけ、温める。おでんは火傷するぐらい熱いのが好き。

 おでんの具材は大根とじゃがいも、玉子とゴボウ天にちくわぶ。

 私はちくわぶが好きなんだけどはっきり言わないけど、孝司君はどうやらちくわぶは好きでなないらしい。結婚した当初、これを入れたらびっくりしていた。

「え、竹輪じゃないの」

 って言ってた。

 ちくわぶは竹輪じゃないんだな。

 私はこのもちもちした食感が好きなんだけどね。

 まあ、好みはひとそれぞれだし。

 私もウインナー巻きやスジ肉は苦手だし。外でおでんを食べたとき、孝司君がくじらを頼んだのにはびっくりした。でもお店で食べたトマトは感動するぐらい美味しかったわ。


 ある程度具材を食べたら、スープと玉子だけを残す。

 スープの中に玉子をぐちゃぐちゃに潰す。

 それをレンジで温めたご飯にかける。

 おでんの玉子かけご飯の完成だ。

 見た目が悪いので人前ではしないやり方だ。

 これをシメにずるずるとかっこむのが私流なのよ。

 ご飯を食べ終えた私はふーとため息をついた。

 食べ過ぎたかな。


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