第31話 西からの訪問者
その日、多くの人が流れ星を見た。
大きな流れ星は、西から東へ。九州から東京へ
伸びに伸びた光の線が夜空に軌道を残す。
それはもはや、流れ星と言うより巨大な隕石ではないか?
だが――――
その日、公式な観測に隕石や流れ星と言った記憶もなく、
スマホやカメラでの撮影に成功例は残っていない。
何らかの要因が重なり、薄い雲に地上からの光が反射したのではないか?
専門家たちも自ら説を半信半疑に述べるだけだった。
しかし、京都
天王家では――――
現当主、コードネーム
妖怪、幽霊、怪奇現象に対するプロフェショナル軍団 天王家の当主。
「太宰から将軍塚に飛ぶか! 今さら、令和に時代に悪霊が2人何をするつもりぞ!」
夜空に老人が叫ぶ。
日本の歴史に残る大悪霊が邂逅を果たす。
果して、その目的は? その影響は?
・・・
・・・・・・
・・・・・・・・・・
―――千代田区―――
「何をしに来た。また神託でも送ってきたか、道真?」
「いやいや、冷たくない? 別にスカイプでも良かったんだけど、日本の半分くらいの距離を飛んできたんだよ?」
「今時、スカイプなんて使わねぇよ。いつの時代だ」
「TwitterでDM送っても無視するし」
「……ほれ、スマホ出せ。ラインのアプリをDLしておいてやる」
「おぉ! 流石、都会っ子だな。 九州に留まっていると日本のハイテクに疎くてかなわんわ」
「それで、なんの用件だ? また、新調したPCの設定を頼みに来たなら断るぞ」
「違う違う! 実は――――殺生石が割れたらしいじゃん」
「……ほう」
「え? 知らなかったの、君は関東の王でしょ?」
「……デジタルを使いこなせない男が、どうやって九州で関東の情報を得ているのか? 俺にはそっちの方が不思議でならないが……だとすれば狐が解かれたか?」
「さようさよう。しかも、学び舎に忍び込んで男に惚れこんでいるらしいぞ。それも相当とな」
「うむ……あやつは傾国の怪物。その男は、新たなる王か?」
「さてね、ぼかぁそこまで知らないよ。気になるなら見学に行こうよ」
「見学……とな?」
「ほら、僕と君とで学び舎に忍び込んで、狐と王候補を見極めるのさ」
「それが目的か? 次代の王となり得る者と俺はぶつかり合わせる事が」
「あはは、嫌だな。そんな怖い顔しないでよ。ただでさえ、君は頭だけが宙に浮いてるんだからね、将門くん」
「今回は、貴様の遊びに乗ってやる。まずは肉体を――――どれ、現世から強靭な肉体を持つ者に憑りつこうではないか」
「あー 憑りつくなら、高校生くらいね」
「うむ、元服した頃合いか……我らの時代と成人と童の境目が違って困惑するな」
「それなら、ほら――――この子とか良いんじゃないか?」
そう言いながら、道真はスマホの画面を将門に見せた。
「確かに強靭な肉体。今の時代でいうプロのMMAファイターか」
「ね? いいでしょ?」
「しかし、問題が1つあるぞ」
「え? 何か問題があるかな?」
「この肉体の持ち主……女子ではないか?」
「それが、何か問題でも?」
「なに!」
「君は関東の王。憑りついた人間が強靭ならば、十分にその力を発揮できるでしょう。それが男女であれ、関係なく」
「う~ん、でもなぁ」
「……(もう少し、まだだ。まだ笑うな! もう少しで面白い事になるよ!)」
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