第8話

「今戻りました…」

カゲはクラリスに結果を報告に行く。

「お疲れさま。どうだった?」

「順調だったかと思います。実践での動きも問題なし、エネルギーの使い方も通常と変わらないレベルまでできていました」

「そうか、それはよかった。しかし、なぜそんな暗い顔をしてる?」

何かあったのか、そうクラリスは問いかける。

「いえ、大したことではないですが、やつは普通ではないなと改めて感じました。そして少し危険を感じています」

「いったい何があったんだ?」

クラリスの問いにカゲはゆっくりと話し出す。


「計画通り虎型の異獣と戦わせていた時です。しっかり相手の動きを見て戦うことを身につけることが目的だったので、まずは一対一でやれるように戦場はコントロールをしていました。ただ危機感は持って欲しかったので、ダラダラやっていると囲まれてしまうぞと煽ったのですが、、、」

カゲは顔を少ししかめ続ける。

「その瞬間でした。何か覚悟を決めたように異獣に向かっていき、開いた口に腕ごとナイフを突っ込み内からグチャグチャに切り裂いたんです。ラウルの腕もグチャグチャになってました。いくら再生出来るからといっても普通の感覚ではそんなことできませんよ。ましてや今回が初実践」

「なるほどね、、、」

「私は怖いんです。目標達成するために彼がいつの日か味方すら平然と殺してしまうのではないかと。もちろん彼自身が命を投げ捨てるのではないかとも」

「彼は味方に被害を与えるようなことはしないわ。雑に扱うのは自分の命だけ」

「なぜそんなことわかるんですか?」

カゲの言葉にクラリスは少し考えてから答える。

「…勘よ」

私の勘が外れたことはないから安心なさい。そう言い残すとクラリスは部屋を出ていった。

残されたカゲは大きなため息をつく。

「あなたが下唇を触って話すときは何かを隠そうとしている時ですよ」

どちらにせよ私が貴方を守ります。カゲはそう決心するとクラリスを追うように部屋を後にした。







ラウル、あなたはいつこっちに来るのかしら?

ラウル、こっちは楽しいぞ?

ラウル、はやく、はやくこっちに来てよ!



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