光と闇と狭間の僕ら
かめ
第1話
昔々、光と闇の戦争があったそうだ。
光は闇を嫌悪し、闇も光を嫌悪した。
戦争は長引き両者疲弊していった。
そんなあるとき誰かがこう言ったそうだ。
「完全な光と完全な闇をぶつけて決着としましょう」
疲弊してきた両陣営はこれに同意した。
そして決戦の時、誰もが息を飲み見守る。
勝負は一瞬だったそうだ。
しかし、その結末はもう誰も知らない。
「ねーおばあちゃん! その話本当なの! 学校じゃ私たち光の世界の住人が勝ったって聞いたよ。そして闇は別の世界に封印したって」
「ふふ、学校ではそう教わるのね。まあ確かにそう捉えることもできるわ」
「???」
「まだ難しいかしら。けどね、クラリスこれだけは覚えておいてね。真実なんてものは一つとは限らないのよ」
「ふーん、そうなんだ」
「そう、だから自分の中で確かな物を選ぶことが大事なの」
「よくわかんないや。それより今日はどうしたの? なんか真面目な話だった」
「私ももう少しでお迎えが来るからね。あなたに色々と伝えたかったのよ」
「まだまだおばあちゃんは元気だよ!」
「ありがとう。けどなんとなくわかるものなのよ」
「・・・」
「そんな顔しないで。クラリス、あなたにはとても過酷な使命が課せられるわ。けどね、あなたならきっと乗り越えられる。自分を信じなさい」
「簡単に言わないでよ」
「おばあちゃんが信じた自分を信じなさい。きっと大丈夫。あなたは幸せになれる」
「わかった」
「ありがとう。今日はこれくらいにしましょう。おやすみなさい」
「うん、おやすみ」
これがおばあちゃんと話す最後の機会になるとは思ってもいなかった。
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