私の名前を冠した帝国である。

 迷宮の名前は、協議の結果、クライニア帝国となった。

 私の名前を冠した帝国である。

 帝国といっても、ダンジョンひとつ分の大きさしかない。


「ひとまず、第一階層にシャルセアを置いて、誰か来たら追い返す感じでお願い」


「了解した、マスター」


 ポイントを使い切ってしまったので、しばらく拡張は無理だ。

 とはいえこんな場所に迷宮ができていると気づかれるまで、数日の猶予はあるはず。

 スケルトンも多数用意してもらったので、ポイントは勝手に貯まっていく。


 第二階層は果樹園と小麦畑、野菜畑だ。

 ヨルガリアを配置して、スケルトンの指揮を任せる。

 収穫の時期はすぐにやってくるので、忙しいだろうが、頑張ってもらいたい。


「してマスターはどちらに向かわれるのですかな?」


 ヨルガリアが問うてきた。


「うん。迷宮管理にね、迷宮支配っていう項目があるんだ。それを使おうと思う」


 ヘルプ機能によれば、攻略済みの迷宮を支配下に置くことができるらしい。

 つまりドレイク迷宮を、私の領土に変えることができるのだ。


 とりあえず、私とミアラッハはドレイク迷宮に向かう。

 自前のゴーレム馬と木馬でだ。

 ハニワ顔を見られると思うとちょっと嫌だけど、そんなことより迷宮支配を早く試したい。


 一時間ほどでドレイク迷宮にやって来た。

 ハニワ顔のゴーレム馬に注目が集まる中、気にせずミアラッハとともに下馬して迷宮に入る。

 転移魔法陣で第九十五階層に飛ぶ。

 そして第百階層に向けて進んでいく。

 迷宮支配は、最下層でしか使えないとヘルプ機能に確認済みだ。


 雑魚を蹴散らして、第百階層に。

 ボス部屋に入って、ドレイクを瞬殺する。

 〈ストレージ〉にドレイクを入れて、迷宮支配を起動した。


《この迷宮を支配下に置きますか?》


 イエス!


《迷宮 名称未設定

 DP 6753259pt

 第一階層:石室

 ︙

 第百階層:石室》


 ええとDPは675万?

 凄いな、多分これ1000万になったら迷宮大変動が起きるんだろうな。


 迷宮大変動とは、迷宮の難易度が上がる現象だ。

 扉の装飾が増えるので、起こると分かりやすい。

 中にいると急に難易度が上がるため、非常に危険ではあるが……。

 この迷宮は管理者がいないため、機械的に階層を増やし、貯まったDPを消費して、現在の姿になったのだろう。


 どうやら管理下にある迷宮から、他の管理下にある迷宮へ迷宮管理スキルで転移できるらしい。

 私とミアラッハは、クライニア帝国に転移した。


「戻ったよ」


「おお、早かったですな。して首尾はいかに」


「無事に迷宮を管理下に置くことができた。ちょっと色々試してみるね」


 まず名称を決めよう。

 これはドレイク迷宮でいいだろう。


 次にDPをクライニア帝国に移すことができないか、試す。

 あっさりとできた。

 これでドレイク迷宮は迷宮大変動が起こることはなく、クライニア帝国の開発にDPを使えることになった。


 まず最優先で、『レクタリス地方語のスキル結晶』という言語習得アイテムを生成する。

 これをふたつ生成して、シャルセアとヨルガリアに使用させた。

 これでふたりはレクタリス地方語を習得したことになる。


 次に第一階層に城を建てる。

 結構な広さがあるので、一番大きなものを設置してみることにした。

 DP100万ポイントもかかるが。


 第一階層に転移してみると、そこには魔王城としか言いようのない威圧的な城が鎮座していた。

 デザインの変更はDPを消費して行えるらしいが、特に問題ないので初期状態のままにしておく。

 要は、城があって城主がいることが大事なのだ。


 次に第一階層と第二階層を繋ぐ転移魔法陣を設置した。

 城の一角に、第二階層への転移魔法陣を設置しておけば、第一階層に農作物を運ぶことができる。

 何より私がいなくても転移できるようになったわけだ。

 第二階層の転移魔法陣は城の地下にある保管庫に置いておいた。


 第一階層に、大商店を設置する。

 ここでは第二階層で取れた農作物を販売してもらうことにする。

 店主はできるだけ強くて、人間が嫌悪感を抱かない魔物がいい。

 ワーウルフに決めた。

 ワーウルフは、人化、半獣化、完全獣化の三形態をもつ魔物だ。

 人化していれば人間にしか見えない。

 半獣化すると耳と尻尾が生えて、全体的に毛深くなるがまだ人型だ。

 完全獣化ともなると、完全に狼の姿となる。

 クラスはマーチャントに設定し、レクタリス地方語と算術をオプションで習得させた。

 スポーンは『1/1』と表示されている。

 これは、一体が倒されると一体供給されるという意味らしい。

 大商店をひとりで回すのは無理だろうから、従業員を増やす。

 居住区画の部屋数からいって、10体ほど常駐させることができる。

 しかし従業員の取りまとめ役や、従業員の食事や掃除などの裏方も必要だと思うので、スポーンは『8/8』にしておいた。


 次は裏方の作成だ。

 種族で迷ったが、魔法が使えるといいのと、料理ができるのがいいので、ケットシーを選ぶ。

 ケットシーは妖精で、人類とは中立だ。

 性別を女性にして、クラスはメイドにした。

 オプションで水魔法、そして料理と掃除を設定する。

 光魔法と闇魔法を最初から覚えているため、〈クレンリネス〉が使える。

 スポーンは『1/1』とした。


 従業員の取りまとめ役は、強化した単体のワーウルフを設置する。

 スポーンではないため安いが、その分、強化にDPをつぎ込む。

 マーチャントのレベルを20にしてから、上級クラスのミリオネアにクラスチェンジさせた。

 裏でグラップラーとチャンピオンのレベルも20ずつにしておく。

 スキルにレクタリス地方語、算術、礼儀作法、宮廷語、闘気法、素手格闘、投げ、関節技、絶対記憶を設定。

 【?】がよっつあるので、スキルを確定させる。

 【値切り】【交渉】【怪力】【連撃】に決まった。

 名前をゲイツにして、完成だ。


《名前 ゲイツ

 種族 ワーウルフ 年齢 0 性別 男

 クラス ミリオネア レベル 20

 スキル 【爪】【牙】【人化】【半獣化】【完全獣化】【獣人語】

     【レクタリス地方語】【算術】【礼儀作法】【宮廷語】

     【闘気法】【素手格闘】【投げ】【関節技】【連撃】【値切り】

     【交渉】【怪力】【絶対記憶】》


「ゲイツ、この場にいる八体の従業員と、裏方のケットシーの管理を任せます。またもし貴族などが来た場合の対応もゲイツに任せるからそのつもりで」


「かしこまりました、マスター」


 後は……そうだ、マジックバッグの金庫を設置しておくことにした。

 お金もダブついている金貨と銀貨と銅貨を入れておく。

 また大商店の倉庫には、保管魔法をかけておいた。

 これで倉庫に入った農作物は劣化が著しく遅くなる。

 そしてゲイツの服と、従業員の制服、ケットシーのお仕着せを用意した。

 洗濯はケットシーの〈クレンリネス〉があるため、予備は一着ずつでいいだろう。


 まだまだDPがあるので、城に執事とメイドを配置しておく。

 執事は単体で強力なのにしておく方が良さそうだ。

 種族はヴァンパイア。

 バトラー20レベル、チェンバレン20レベルにして、グラップラーとチャンピオンとスカウトとアサシンもレベル20にしておく。

 スキルはレクタリス地方語、算術、統治、礼儀作法、宮廷語、時空魔法、闘気法、素手格闘、投げ、関節技、気配察知、気配遮断、絶対記憶、不眠不休、真祖を覚えさせる。

 初期で闇魔法を持っているので、魔法戦もできる。

 【?】がむっつあるため、確定させる。

 【ご奉仕】【指揮】【格闘術】【練気】【罠感知】【暗器】になった。

 ほほう、格闘術なんてあったのか、知らなかった。

 今度、練習してみよう。

 スーツに暗器を用意して、完成だ。

 名前は、王道にセバスチャンとした。


《名前 セバスチャン

 種族 ヴァンパイア 年齢 0 性別 男

 クラス チェンバレン レベル 20

 スキル 【爪】【牙】【吸血】【再生】【視線】【真祖】【吸血鬼語】

     【レクタリス地方語】【算術】【統治】【礼儀作法】【宮廷語】

     【闇魔法】【時空魔法】【闘気法】【練気】【素手格闘】【投げ】

     【関節技】【格闘術】【暗器】【ご奉仕】【指揮】【気配察知】

     【気配遮断】【罠感知】【絶対記憶】【不眠不休】》


 真祖のスキルで日光に耐性があるので、日中も働ける。

 それどころか不眠不休を持っているので、一日中仕事をしてもらえることだろう。

 ブラック……!!


「セバスチャン。あなたには城の管理を一手に引き受けてもらいます。この後でメイドを用意するけど、部下は必要かな?」


「できれば真祖でかつ不眠不休のヴァンパイアを二体、文官に加えて頂けると助かります」


「分かった。用意する」


 というわけで文官だ。

 種族はヴァンパイア。

 クラスはオフィシャル。

 スキルはレクタリス地方語、算術、統治、礼儀作法、宮廷語、絶対記憶、不眠不休、真祖をオプションで追加する。

 スポーンは『2/2』である。

 スーツを二着ずつ支給してあげた。


 次にメイドだ。

 これはスポーンでいいだろう。

 種族を何にするか悩んだが、ここは大商店と同じ思想で、フォックステイルにした。

 ワーウルフの狐版だと思っておいて間違いない。

 クラスをメイドにして、レクタリス地方語、算術、ご奉仕、料理、掃除、水魔法、を覚えさせる。

 光魔法は最初から覚えているらしい。

 スポーンは『49/49』だ。

 メイド服を二着ずつ支給する。


 メイドを50体にしなかったのは、メイド長を設定するためだ。

 メイド長もフォックステイルにする。

 ただしスポーンではなく単体設置で。

 メイド20レベル、ガヴァネス20レベルにして、スカウトとアサシンとグラップラーとチャンピオンをそれぞれ20レベルにしておく。

 スキルはレクタリス地方語、算術、ご奉仕、礼儀作法、宮廷語、料理、掃除、水魔法、時空魔法、闘気法、素手格闘、投げ、関節技、気配察知、気配遮断、絶対記憶を覚えさせる。

 光魔法は最初から覚えているので不要だ。

 むっつの【?】は?

 【逃走】【号令】【罠感知】【跳躍】【練気】【怪力】だ。

 メイド服を二着支給する。

 名前はエマにしておこう。


《名前 エマ

 種族 フォックステイル 年齢 0 性別 女

 クラス ガヴァネス レベル 20

 スキル 【爪】【牙】【人化】【半獣化】【完全獣化】【幻惑】【獣人語】

     【レクタリス地方語】【算術】【ご奉仕】【礼儀作法】【宮廷語】

     【号令】【料理】【掃除】【水魔法】【光魔法】【時空魔法】

     【闘気法】【練気】【素手格闘】【投げ】【関節技】【格闘術】

     【気配察知】【気配遮断】【罠感知】【逃走】【怪力】【跳躍】

     【絶対記憶】》


「エマ、メイドの管理を任せます。城の管理は執事のセバスチャンに任せてあるので、協力してください」


「かしこまりました、マスター」


 広い城だが、メイド五十人で回るだろう。

 掃除は〈クレンリネス〉があるしね。


 さあ第一階層はこんなところかな。

 まだまだDPはあるので、次は兵士を用意しよう。

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