パラドックス ~旅をして知る世界の謎~

ゆきたか

第一章 師匠との出会い、そして旅立ち編

第一章 第1話 最強との出会い

 街の路地裏で僕はうずくまっていた。

寒い、苦しい、お腹がすいた・・・・


―ぐぎゅるううう


 またお腹が鳴った。ここ3日間何も食べてない。

 水は昨日雨が降ってきて、それでできた水たまりにたまった泥水をすすってなんとかなった。


 けど、もう....つらいや....


 お父さんとお母さんが死んじゃってから、どれくらいたったんだろう。


「うう、ぐすっ」


 会いたい……お父さんとお母さんに会いたい。

 僕は山奥の小さな村で暮らしていた。裕福ではなかったけど、両親は僕のことを本当に愛してくれて毎日が楽しかった。

 けれどある日、突然村に大量の魔物が襲ってきて、お父さんとお母さんはその時に死んでしまった。僕は走って逃げて何とか生き延びた。

 二人が死んじゃってから毎日がつらい。頑張って一人で生きていこうとしたけど、無理だった。ずっとお風呂に入ってなかったから、誰かに助けを求めても「臭い」「汚い」って怒られて、殴られたり蹴られたり、ひどいときには石を投げられた。

良い匂いがしてそれにつられて店に入ったらまた怒られてつまみ出されたりもした。


 きっと、この世界に僕の居場所は、もうないんだ。

 僕みたいな小さい子供が一人で生きれる場所なんて...


「ああ」


 掠れた声で、何もかもを諦めたように、僕は天を仰いだ。


 もう、ここで終わらせよう。

 このまま生きていても、何の意味がないであろう、この命を。


 偶然拾ってずっと護身用に持っていたナイフで、このまま僕の心臓を刺して――











「おい」



 僕の心臓を刺そうとしたら声が聞こえた。誰?

 声をかけてきた男の人は僕に近づいてくる。僕は怖くなって咄嗟にナイフを男の人に突き付けた。

 その時、男の人は一瞬で距離を詰めてきて・・・


「君はこのナイフで何しようとしてたんだ?」

「ッ!?」


 僕が持っていたナイフがいつの間にか男の人に取られていた。

 何が起きたんだ!?瞬きはしてない。本当に一瞬で取られた。


「ひっ」


 僕はこの人に殺されてしまうのか、殴られたり蹴られたりされて痛めつけられるのか。その恐怖で全身が震えてしまう。


「あー、すまん。危害を加えるつもりはないからそんなに怖がらないでくれ」


 僕は男の人の顔を見る。

 身長は180㎝より少し低めくらいだろうか、髪は黒く、まるで宝石のような青い瞳をしていたがその目つきはとても鋭く、妙な威圧感があり、そしてマントのようなものを羽織っていた。

 男の人はしゃがんで僕に話しかけてきた。


「君、名前は?」

「ア.......アリステア」

「……アリステアか、良い名前じゃないか」


 男の人は微笑んだ。


「俺はシエン、シエン・カーライル。気軽にシエンって呼んでくれ」


 シエン.......この人は、僕を怒らないのかな......


「あの」

「ん?」

「あなたは.....僕を怒らないの?」

「は?」

「僕を殴ったり、蹴ったり、石を投げたり.......」

「ちょっと待て。なんで俺が君みたいな小さい子供にそんな胸糞悪いことしなくちゃならねえんだ。俺がそんなことするように見えるか?」


 見える。だって目つき怖いもん。


「はあ、まあいい。それより君腹減ってるだろ。さっきすごいでけえ音が腹から鳴ってたもんな」


 聞かれてた。はずかしい。


「ついてこい。腹いっぱい食わしてやるから......いや、まずはその泥だらけの顔どうにかしねーとか。あとすげえ臭うし。こんな臭ってたら店にも入れねえか」

「食べ物.......くれるの?」

「おう! 子供はうめーもんいっぱい食って大きくならねえとな!」


 シエンさんはニカッと笑ってそう言った。

 この人なら信じてもいい気がした。僕のことを汚いものを見るような目で殴ったり蹴ったりしてきた人たちとは違う。この人の笑顔は、お父さんとお母さんの温もりを思い出させてくれるような....そんな温かさがあった。

 シエンさんは立ち上がって振り返り、歩きだした。僕もそのあとを追う。



 これが僕と、【四英傑】シエン・カーライルさんとの出会いだった。


――――あとがき――――

初めまして!ゆきたかと申します!

ちょっとしたきっかけで小説を書き始めてみました。

素人なのでいろいろおかしな部分があるかもしれません。

その際は、コメントなどで指摘して頂けたら幸いです。


ページの↓のほうで『★で称える』で応援頂けますと、すごくうれしいです。


これからも読者の皆様が楽しんで夢中になってくれるような、そんな小説を書けたらなと思っています。よろしくお願いいたします。

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