Legendary iDOL Project!〜「私、証明したい!努力は必ず報われるってことを!」もし、ダメダメな私がステージで輝くあの子に出会えたのなら〜

ニッコニコ

プロローグ

 私の努力は報われない。


 ずっと自分自信で否定し続けてきことが、今日のテストで不覚にも証明されてしまった。


 自分は特別だと、主人公みたいな力を持っていると信じる必要ももうなくなった。


 その期待だけが、唯一私を保ってくれたお守りみたいなものだったのに。


 つまり私は自分自身に見切りをつけたのだ。明日野未来という人間の限界をこの手で、今日決めつけてしまった。


真っ暗な部屋で、私は適当に1番上の動画の再生ボタンを押した。


 何かしてないと涙が込み上げてきそうだったから。


 少しでも現実を忘れられるのならなんでも良い。


 あの光景がフラッシュバックしてもっと自分を嫌いになってしまいそうだったから。


 画面に写ったのはアイドルっぽい女子高生だった。


「誰だっけ……」


 制服を身に包み、笑顔で左右を行ったり来たり。


 ステップする度に揺れる淡い青髪。

 

 天然水のように透き通った歌声。


 どこかで見たことがあるような気がする。


 答え合わせをするように画面下のバーを左にスライドさせると、曲調が変わる。


 


 ――――同時に、笑顔のギアも急激に上がった。




『まずは一歩進んでみよう!


 辛くても、苦しくても、きっと楽しくなるよ!

 

 この勇気は僕から君に


 だってそれは、


 始まりのSTART!


 誰もがきっと持ってる、STAR!』


 最後は決めポーズにウィンク。


 その輝いた瞳と視線がぶつかって思わず息を呑んだ。


 頭は麻酔を打たれたように痺れていて、ただぼうっと画面を眺めてるのが心地よかった。


 『ありがとうございました!これからもマリンを応援よろしくお願いします!』


 深々とお辞儀をして、元気いっぱい手を振るその姿に思わず頬が緩む。


 そうだ、思い出した。


 震える手で検索エンジンにキーワードを打ち込んでクリック。


 新世代アイドルSNS『Legendary idle project』、

通称『LIP』で人気急上昇中のjkアイドル『マリン』。


 カワイイが溢れるほどあるにあるこの時代に突如として舞い降りた青髪の天使様。


 今1番注目を浴びているアイドル。


 だが、彼女は特別歌が上手い訳ではない。


 もちろん、歌唱力は相当あると思うけど、飛び抜けている訳ではない。


 ダンスの方も同様だ。


 だけど、彼女からは目が離せないのだ。


 気が付いた頃には彼女のステージに釘つけにされている。


 その「何か」がマリンの最大の魅力なのだ。


 もしも、彼女みたいに誰かに希望や喜びを与えることができたなら。


 もしも、彼女みたく笑えたら。


 私の人生は変わるのだろうか。


 くしゃり、と握っていた答案用紙に力を込める。


 「マリンちゃんに、なれたらなぁ......」


 そんな独り言は誰に聞かれるまでもなく、スピーカーの拍手にかき消された。

 

 

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