第40話 自己採点会?

 試験の翌日城に行くと何故か赤青黄色娘達も問題用紙を持っており、晃司が皆の採点と総評をする事になった。


 晃司の問題用紙は既にアモネスの元にあったのだが、朝の鍛錬を終えて今日は解散となったタイミングで、答え合わせをして欲しいとアモネスに言われ、皆で彼女の部屋に向かった。


 今日の神殿浴場のチャージには赤青黄娘も参加しており、朝の鍛錬が終わった後に彼女達も一緒に筆記試験の自己採点を行う事になった。


 結果、チャージ出来たのは晃司だけだった。

 ものは試しにと皆魔力量の測定代わりに行ったのだ。


 驚いた事に、3人娘はランニングについてこれていた。

 どうやら元々体力作りにも励んでおり、難なくついてこられていた。

 逆にアモネスが余裕で走っているのを見て3人娘が驚いていた。


 アモネスが晃司に笑顔を向けながら走っているので大いに驚き、最近の日課の武器の訓練もこの日は晃司の知っている事を伝える事になり、後ろから羽交い締めをされた時の対処だったりする。


 本来王族がそのような状況に陥った時点で詰んでいるが、アカデミーに通う以上自分の身を守る必要がある。


 その後皆の筆記の判定だった。


 結局皆の前に座った晃司が答えを読み上げ、各自が採点をした。


 そして点数を発表したが、必勝法と言っても例年だと後半に簡単なのがあるから、難しいのは後回しにして先へ進む。

もしも時間に余裕があれば、後回しにした中で難易度の低い問題から手を付けるようにと言っていたのだ。

それが良かったのか、晃司の予測した平均点を全員超えていて、流石に2番手はアモネスだった。

 3番手はライラで、アモネスより1つ間違えているだけだった。

 それも簡単なのをだ。


 晃司はライラに用があると一旦部屋の外に出た。


「お前わざと点数を低くしただろう?多分殿下が全体の2番だ」


「知らないわよ」


「普通間違えないようなのをいくつか間違えていて、どう見ても殿下の答えられそうなのを把握していて、ぎりで下回るようにしたろ?多分筆記の3番はお前だよ」


「ふーん。私がお嬢様より上になる訳にはいかないのよ。分かるでしょ?」


「意外と優しいんだな。と言うかお前、実は頭良いんだな」


「貴様に言われたくはないわね」


「なあ、そんなにつんつんしていて疲れないか?それにいつもむすっとした顔をしているが、もう少しにこやかに出来ないか?この前買い物の時に困ったような顔をしていたろ?それに殿下に怒っていたじゃないか!あれは中々可愛かったぞ」


「な、何を言う!からかっているのか?」


「意外かもだけどお前の見た目だけは俺の好みなんだよ。今のままだと折角の可愛い顔が台無しだぞ。いつも眉間にシワを寄せているなんて肩が凝らないか?。殿下が、あの子笑ったら俺が即求婚するレベルだって言っていたぞ。まあ、そういう事だ」


 晃司は言いたい事を告げるとさっさと戻っていった。


「私が・・可愛い?晃司は私の事を気に入っているのか?・・・」


 晃司は各自にアドバイスをしていた。


 また、魔法についても、やはりアモネスが抜きん出ているから自分を除き1番だと告げた。


 3人娘が詰め寄ってきたが、試験の内容が冒険者の自分に相性が良かったのと、筆記は計算問題意外は過去20年の問題の使い回しで、最終日に気が付いてほぼ徹夜で全ての問題と回答を確認したからなんとかなったのであり、そうでなかったら平均点を下回ったはずだと告げた。

 だから実力ではなく、アカデミーの裏をついただけだと話して詰問を逃れた。


 まだ晃司の事について感付いてはいないのだろうが、時折髪の毛についてまじまじと見られていた。


 3人にとって勇者の特徴は黒髪黒目だ。

 召喚直後の事は咄嗟に肌を隠すべく背中を向けた為、実際に晃司を見たのはごく短時間であり、顔は覚えていない。

 ただ、今目の前にいる晃司と声質が似ているなと思い、ひょっとしたらと感じていた。

 しかし髪の色から半信半疑だ。


 そこで今までのようにアモネスと一緒にいる事で、勇者がこの晃司なのかを見極める事にした。


 その為に、万が一勇者だった場合を考えて晃司への当たりを柔らかくせざるを得なかった。


 採点が終わった後、3人が謝罪してきた。


「晃司殿、昨日は失礼しました。殿下にちょっかいを掛ける者が多くて、そんな1人と早合点してしまいましたわ。魔道具の不具合だったとは災難でしたわね。それとキレ者なのですね。所で髪の色はいつ染められたのですか?」


「分かってくれたのなら良いですよ。殿下の事を大切にされる幼き頃よりの友人なら当然ですよね。俺の髪の色ですか?生まれてこの方染めたり抜いたり等、手を加えた事はないですけど、俺の髪がどうかしましたか?」


「珍しい色ですので、地毛の色だとは思わなかったものですから。殿下の護衛宜しくお願いしますわ」


 丁寧にお辞儀をされ晃司は少し好感を持った。


 皆が点数の事やどこを間違えたのか伝えあっている時にアモネスが横に来た。


「根は良い子達なのよ。出来れば嫌いにならないであげて」


「うん。今のところ嫌いになる事はないけど、昨日はアモネスを大事に思っての態度だったんだな」


「ちょっと行き過ぎではあるのよね。それと晃司、明日からも早朝訓練を宜しくね。今のままだとやっぱり私とエリーが厳しいのよね」


「分かった。毎日来るよ」


「ええ。晃司の顔を見ないと不安なのよ」


「えっ?何か言った?」


「独り言よ。今日はこれからどうするのかしら?」


「騎士団で俺が倒した魔物のドロップ品を貰わないとだよな?受け取りに行こうかと思うんだ」


「分かったわ。それじゃあ明日も宜しくね」


 その日の訓練は終わり、アモネスと別れるかと思いきや、全員で走って騎士団に向かった。

アモネスの格好を見た警護の騎士は大いに驚き、慌てて中に入ると騎士団団長の1人が即時に現れ、アモネスへの対応をするのであった。

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