第32話 アモネスちょい怒!
アモネスはため息をついた。
「コホン。良いですか?こちらにいるラミィさんと晃司さんは、こちらからお願いして来て頂いている方です。私の護衛としてネリスと従姉妹のエリーをアカデミーに通わせる事になりました。そこでこちらの指定する者、つまりエリーとネリスの2人を従者としてアカデミーに通って頂く事が可能な者を冒険者ギルドから紹介して貰ったのですが、それがこの2人なのです。私、下賤の者だとか身分が卑しいとか、貴族でない等からの差別発言を聞きたくは有りません。それに召喚した勇者様は異世界からの方で、まず間違いなく平民の方のはずです。ですから貴族優越意識は早々に捨て去るのです!宜しくて?」
珍しく怒っているアモネスに皆気圧されていた。
「さあ、皆様先ずは貸与された道具等を試し、食事にしませんこと?」
「身分については短慮でした。申し訳ありませんでした。でも、殿下の周りにあの御方以外の男性を警護にあてるだなんて、私納得いたしませんわ!晃司と言いましたね!もしも殿下や私達に不埒な事をしようものならば許しませんわよ!」
「レナ、殿方を私の護衛にするのは、最低でも1人は殿方がいないと不都合が起こるからですわ。それに彼は誠実な紳士ですわよ。ラミィさんへの接し方を見ていれば分かります。この2人はペアで冒険者をしているのですよ」
そこからは皆押し黙ったが、錬魔法場の中で移動をしていると赤毛が俺の耳元に囁いた。
「殿下はああ仰っていますが、もしも不埒な事をしましたら、この剣の錆にしましてよ!」
晃司はため息をつく。
「そんな情けない真似はしないよ。それに俺にはラミィがいる。ラミィに嫌われるような事はしないから、精々別の事に目を光らせておくんだな」
「ふん!弁えているなら良いのよ!分かったわね!」
こいつ捨て台詞を吐きやがった!と晃司は少しムカついた。
こんなじゃじゃ馬をあてがうつもりだったのか!見た目は好みだが、中身最悪だな・・・
最悪の二次接触である。
向こうは一時接触だが、神殿浴場で見た裸はしっかりと覚えている。
乳首の大きさからほくろの位置まで。
胸だけを見ても誰のか分かるレベルで覚えている。
この記憶力がありえないのだが、当人は何とも思っていない。
こいつらが俺にあてがう3人の女性なのなと・・・皆貴族優先主義なのか、何故ああまで平民を貶めているのかよく分からない。
遊びで抱くならそれもありだろうが、あの娘達を抱くと言うのは娶る事を意味する。
この世界は一夫多妻制らしいが、やはり1人の女性に向き合い、この人と結婚出来れば御の字だ。
しかし複数の女性を娶れるのは男のロマンだろうが、ちゃんとやっていけるとは思えない。
お淑やかだったり努力して頑張っている女が良い。
本性を現す前のアモネスとか。
あれはあれでお姫様お姫様していないから好感が持てるが、やっぱりラミィのように努力しているような女性に惹かれる。
今後の事はよく分からない。
しかし、否応なしに魔王とやらと対峙しなくてはならず、このアカデミーに通っている間に一緒に戦うに値する仲間を探さなければならない。
長いようで短いのかなと思う。
本音を言うとそんなのは勘弁願いたい。
しかし避けられないと本能が理解している。
殺されるにしろ、せめてやれる限りの事をやり、その時を迎えたい。
生き残り、その時の仲間と恋仲に・・・
まだ見ぬ恋人が果たしているのか?
ラミィの事は・・・好きだ。
でも彼女は俺の事をどう思っているのか?
よく分からない。
ライラがいうには俺がアモネス達を娶る事を了承しているという。
つまり、ラミィは俺と恋に落ちるつもりがないのか?
だからパーティーメンバーとして了承したのか?
そんな考えに耽けっているとネリスの背中にぶつかった。
「悪い。ぼうっとしていたよ。大丈夫だったか?」
ネリスは1筋の涙を流した。
「晃司様が私の事を気遣うだなんて!ネリスは幸せです」
「ネリス、皆が見ているから取り敢えず涙を拭いて!」
晃司は慌ててハンカチを出した。
「ちょっと、あんた!何従者を泣かせているのよ!」
「こ、これは・・・ち、違うんだ。目にゴミが入ったからだ!逆に晃司様は気遣って下さっただけだ!みろ、目に入ったゴミをこうやって取ってくださる御仁だから好きになったのだ」
ネリスが慌てて取り繕うし、焦って余計なことをしれっという。
「ふーん!女に酷い事したら私達があんたをぎゃふんと言わせてやるんだからね!精々気を付けなさい!私はライラ程甘くはなくてよ!」
ちょっとした内輪揉めがあったが、アモネスにさあ練習しましょう!と言われたので話は終わり、皆練習を開始した。
だが、当初こそラミィは難なくこなしていたが、ファイヤーボールを6発放つと肩で息をしていた。
アモネスが出来るのは治癒のみだと言っていて、ライラが自らの手にナイフで切り傷を付けると、即時に治療していた。
治療魔法の腕には自信があるが、こと戦闘に関しては1兵卒と大して変わらないと言っていた。
そうして皆試験に備えて、練習を開始するのであった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます