第18話 捜索隊による本格的な捜索開始

 そこからは堰を切ったようにラミィが話し始めた。


「晃司を助けてください!アモネス様が探しているのは間違いなく晃司です!彼は捕まるのが怖くて、先日アモネス様を見てからは野営をし、数日後にほとぼりが冷めるのを待って国外に逃げようとしていたんです!でも、今朝姿が見えなくて、野営地を見に行ったらワーウルフに襲われたようで、そこにいなくて、血の跡もあったんです!助けてください!何でもしますから!お金が足りないならこの身を売ってでもなんとかしますから!どうか、どうか!」


 アモネスの顔は一気に青ざめた。慌てているのか支離滅裂な所が有るが概ね理解した。先程の鉱山の話から馬車から逃げ、その後崖から落ちていったのが彼だと。


「誰かこれに!」  


 直ぐに歩哨が入ってきた。


「勇者様の足取りが判明しました。今すぐに出られる者は私と一緒に捜索隊として出ます。1大隊を捜索隊として準備させなさい。すぐにです!門の所に数名でも良いので今すぐ来なさい。それと貴女、案内をお願いします!詳細は道中聞かせてください」


 3人は小走りに馬車に向かう。 


 王女の服は急ぎ外出用というか、乗馬用の服に着替え、馬車に着くと兵士が30名程おり、続々と集まっていた。


「今いるだけでも先遣隊として出発します!先ずはどちらに向かえば良いのでしょうか?」


 ラミィが概ねだが、野営地の位置を御者と兵士達に告げた。

 

「そのような所で野営だなんて、自殺行為ですぞ!」


 2名いた騎士の1人が唸ったが、それでも急ぎ出発し、もう1人の騎士が半分を率いて先行した。


 また、予備というか、王女達の馬を一緒に連れてきており、馬車で進めなくなった時を考えていた。


 道中自己紹介をし、ラミィは知っている限り晃司から教えられていた召喚されてからの事を伝えた。


「ラミィさんは晃司様の事が好きなのですね。大丈夫です。お金の心配は不要です。それに貴女の晃司様を奪ったりはしませんから。私は恨まれるでしょう。その場で怒りに任せて犯されるやも分かりません。私達の不手際で晃司様は辛い目に遭われたのですね」


 そのような会話があったが、程なくして野営地の近くに来た。馬車を停めると先遣隊からの伝令が来たので会話を一旦止めた。


「王女様、報告致します。壊されたテントと、野営の場所を襲われ戦闘があった事を確認し、折れた剣と複数のワーウルフの角とほぼ同数の魔石を発見しました。移動しながら戦った、又は群れに襲われ逃げたようなので、今ハンターに追わせております。私は王都に向かい、救助隊の本体を引き連れて戻ります。この先は馬車では無理ですので、馬に乗ってお願いします。では!」


 伝令は急ぎ去っていった。


「私達も馬に乗りましょう」  


 3人は馬に乗り、護衛と共に野営地を目指した。

 また、同行していた侍女と御者と兵士人を馬車に残し、晃司が見つかり、意識が無い場合直ぐに馬車に入れて寝かせられるよう指示をした。

 尤も捜索隊の本体が来れば荷馬車を持っているだろうが。


 また、街道から河原に向かう場所の目印になるのだ。


 そうしてラミィを先頭にして捜索隊の第1陣がテントに辿り着いたのであった。

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