第8話 女神の奇行とブラックローズ結成

 駄女神はサイコロを振らなきゃだから!と言って、1つ目のサイコロを無造作にこたつの上で振った。

 なにやら23と出たはずなのだが、女神が手で触り100に向け直した。


「はい。100。もう1回行っとくね」


 69と出たが、やはり100に変えた。


「はい。これでダブル100。特別なんだから、もうチェンジって言わないでよね」


「他にも特典が有るんだろ?出し惜しみをしなかったら許してやるから出せよ!」


「本当に許してくれる?」


「お前の行い次第だぞ」


「わ、分かったわよ。100年に1度しかあげられない貴重なのをあんたにあげるから許して!これで最後よ」


「どんなのだ?まあ、帰れないのは仕方がないけど、それならせめてこの世界で名を馳せたいからさ」


「うん。3つ目の加護よ。但し自分で選んで。残り2つは決まっているけど、自分で選ぶ事ができるなんてチートなのよ。それと、私とこのやり取りをした記憶が無くなるから、それを考慮して選ばないと持っている事に気が付かないまま、一生を終えるかもだから気を付けなさい」


「中身次第だな。いつ選べば良いんだ?」


「今よ。時間を止めたから、ゆっくり見て選びなさい。時間がなくて慌てたからって文句は聞きたくないの」


「気が利くじゃないか。まず決まっているのをくれ。それを見てから考えるさ」


 一瞬頭の中を何かが通り抜けた。


 超人、つまり成長補正と起死回生の加護と、肉体の回復ね。

 えっと、大器晩成型だが、超速再生と不屈の闘志で即死攻撃を食らってもLPが1残り、能力が10分間10倍になるのか。

 再生は文字通りか。成長補正は、レベルが上がった時の成長が仲間は通常の者の3倍、本人は5倍ね。

 凄いのかな?但し、レベルが上がるのに必要な経験値が倍必要ね。なるほど、大器晩成ってこうなのか。

 でも、頭悪いのかな?単純に仲間は1.5倍で、俺は2.5倍の成長が見込めるんだよね。


 ふむふむ。但し書きが有るな。

 異世界人は元々己の成長補正が2.5倍有るが、そちらは停止になるか。まあ、実質変わらないけど、仲間の補正はチートだよな。

 回復は、魔力を糧に傷を癒やすのか。


 2つ目は魔法創造。

 難点は既存の魔法を全く覚えられないから、自力で想像し創造しないと魔法を使うのは無理な事と、作成に制限があり、いきなり極限魔法的な強力なのは無理なのか。うむ。

 まあ、もらえるものは貰うが、誰かに師事できない事を意味するが、かなりのチートだ。


 魔法を作るにはポイントが必要で、1日に1ポイント付与され、最大が100ポイント必要だ。貯めたポイントが多い程強力な魔法を作れるのか。なるほどね。ただ、最初はポイントが低くても、攻撃魔法は欲しいな。


 さて、3つ目の加護は選ぶ事が出来るのか。

 どれどれ…全属性魔法…これは魔法創造が有るから駄目だな。意味がない。必中…中々魅力的だが、弓は修練次第だな。


 時空間か。うーん?時間遡行は無理か。でも成長すればテレポートとか行けるのか。最初は無理で、目の前の見える所に転移っと。背後に回ったりか。

 異空間収納は成長すれば無制限だけど、最初は20KGか。ただ、時間停止があるな。やはりこいつだな。転移系は魔力を使うのか。


「時空間に決めたが、そう言えば連れのラミィは何を持っているんだ?」


「連れの子?うんとねぇ、弓の加護かな。射程2倍と命中率アップのよく有るやつね」


「別のをあげられないか?」


「流石に私にも出来ないわね」


「じゃあ、別のに取替は?」


「それは難しいわね。出来るとしたら上位の加護へランクアップをする位かなー」


「何がある?」


「必中になら上げられるわよ」


「それを頼む」


「流石にもうこれで最後だからね」


「分かった。それで手打ちにしてやるよ」


「それじゃあ鏡に手を置いてね。ここに契約はなされた。若き勇者に幸あれ」


 そうすると鏡は元の鏡に戻り、晃司はあれっ?となった。何かのやり取りを誰かとした気がするが思い出せない。


 ただ、何かの加護が有るのは分かった。


「晃司さん?大丈夫ですか?加護は得られましたか?」


「う、うん。何かが入ってきて、まだ頭がくちゃくちゃだけど、加護は確かに貰えたよ」


「数日の間はよく分からない事も有るから、焦らないでください。確かに加護を得られ、冒険者になったのは確認できました。暫くは無理をしないでくださいね。これが冒険者カードです。念じれば出し入れ出来ますので、無くさないで下さいね。次に買い取りですが…」


 買い取り単価はこうだった。

 ワーウルフ

 角  23000G

 魔石 13000G

 ホーンラビット

 角  2500G

 魔石 2500G


 魔物の素材の買い取りの合計はこうだ。


 晃司 33000G

 ラミィ 5000G

 因みにラミィの本日の薬草の稼ぎは5000Gだった。


 お金を受け取り、次にパーティー登録をした。晃司の方が強く年上だからと晃司がリーダー、ラミィが副リーダーとして登録し、パーティー名をと言われラミィも首を傾げた、。


 晃司は少し考えブラックローズと告げた。


 パーティー登録が終わり、2人はギルドを引き上げた。


 宿を取りたかったが、先ずは晃司の服装を何とかしなければだったので、服を買いに行った。


 高いのは買えないので、最低限の物になり、靴が5500G、服は上下で2500G、下着が300G。

 靴はともかく、服と下着は予備がいるのだ。また、最低限の背嚢が、2000G。計13000Gが飛んだ。100Gは端数として値引きして貰った。


 回復アイテムがないかを聞いたらポーションがあるとの事で、初級の回復ポーションを取り敢えず2本で3000G

 瞬く間にお金が消える。


 残金17000G

 晃司は魔物を見た感じで防御をなんとかしたかった。ただ、お金が殆ど無い。宿代と食費で7000Gは見たいので、残り10000Gだ。


 武器防具店で中古の装備を見た。

 革の胸当てが3000G、ナイフ1000G、ダガー2000G、ロングソード6000G、ブロードソード4000G、左手用の簡易な籠手1500G

 明日採取か魔物を倒そうとなり、有り金を使う事になった。結局ナイフ、ダガー(アーミーナイフのような物)、ブロードソード、篭手、胸当てを買う事にした。おまけしてもらって10000Gだった。


 次に宿だが、金額は厩の草置き場が2000G、1人部屋が4000G、2人部屋が6000Gで朝の食事付き。

 または他人との雑魚寝の大部屋が一人2800G。


 ラミィは万年金欠だ。今日は草置き場かなとぼやいていた。


「あのう、ラミィ、お金を出し合って2人部屋にしない?ラミィが2000G、俺が4000G出すから」


「有り難いのですが、良いのですか?」


「うん。色々教えてもらいたいから。駄目かな?」


「はい!こちらこそ宜しくお願いします。余分に払わせちゃうので、夕食は私が出しますね」


 ラミィは何故か晃司の事を信用している。というか、晃司がいなかったら死んでいた?と思っているから、命の恩人に犯されたらそれはそれで仕方がないのかなと、覚悟はしていたのであった。

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