続4話 4 - 4 世界線変遷  α√ root √  → 真α √ ルート √  確定のノイズ


 目を開けると、見えたのはさながら仮面○イダーの様にキックを放っている女性、と、その女性のスカートと、その、中のピンクフラワーな下着! 



 見事に蹴りが決まり、私とレイの間に颯爽と現れた彼女は、ああ、見間違えることのない。その姫らしく、可憐で、花蓮で、花恋で、火憐かつ香恋なお嬢様。姫の中の姫。見事なツインカールテールとその笑み。



 我が部長姫川桃子様である。



「まったく何してんのよ、ヘイ。あなた秘密結社同好会なら必殺技の一つぐらい持っておきなさい!」


「姫様!」



 私にとって驚きであり、同時に喜びで、そして何より泣いていた。声は出さずに、静かに。なぜだろう。なぜかすごく長い時間この時を待っていた気がする。何度も何度も、この時を望んでいた気がする。



「さて、と。ヘイの言葉が正しければ、必要なのは私ともう一人らしいわね。さぁそれ、行きなさい!」


 姫様が何か取り出したかと思うと、そこからまた一人女性が現れて、そしてそのままレイを押し倒した。


 物理的に。


 そしてもう一度押し倒した。


 比喩的に。


 ……ノイズ……


 比喩的に。


「さて、次はヘイの出番よ!」


「えっ……な、何をーー」



 言葉終わらぬままに私は吸い込まれた。何に? わからない。光か、空間か、はたまたインチキなマジックか、神の奇蹟か。いずれでもないかもしれないし、どれかが正解かもしれない。分かっているのは、姫様が手にしていた“”モノ“”が関係しているということ。ただ、それだけを忘れないようにして私は旅立った。



「ヘイならできる。なんてったって、このルートが今ここに存在するんですもの。それが何よりの証拠よ。さあ、頑張って頂戴。そして、ーー必ず帰ってきて、ヨウヘイ」



……ノイズ……

 


「さて、と。ヘイの言葉が正しければ、必要なのは私ともう一人らしいわね。さぁそれ、行きなさい!」


 姫様が何か取り出したかと思うと、そこからまた一人女性が現れて、そしてそのままレイを押し倒した。


 物理的に。


 そしてもう一度押し倒した。



 その艷やかで、母性的でありながら少女のようなキスはエデン・レイの瞳を変えた。しばらくは何をされたのかわからないようであった。


 戸惑い。


 困憊。



 揺れて、揺れ、揺れ動く。



「いったい、何を……」


「私はあまり詳しくないの。普通の恋をしたい乙女だし? ヘイなら詳しいんじゃないかしら、



 姫様の石が再び光を放ち、輝き出す。



 宙に放り出されたから黒川要黒は戻ってきた。



「ーーそうですね。多少嗜んでいます故に、理解はあります」


「おかえりなさい」


「ただいまです」


「ーーなっ、なにが」


「久しいな、エデン・レイ。いや、今の時間軸だと会うのは二回目か」


「なんだ、この女は!?」


「夢野根底。前世からの仕え姫さ」



 もういちどだ、ユメ。



 はい、ヘイ様。



 今度恐怖するのはレイの番であった。



 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る