続4話

続4話 4 - 0 δ世界戦線

 繰り返し、繰り返す。



 何度だって繰り返す。同じように見えて、わずかにズレた世界。そう。これは違う世界。繰り返し繰り返して世界線を少しずつづらしていけば、やがて大きな世界線移動になる。まったく異なる可能性が生まれる。それに賭けるしかない。



「愚かね、地球の生命体は」



 これで99879546320回目。


 エデン・レイ。彼女の言葉を聞いた回数だ。



「姫様! 早く撤退を! お下がりください、危険です!」


「……ヨウヘイ」


「はい、姫様。ここです。私はここにいます」



 硝煙や鉄の焦げる匂いも既に感じなくなり、敵も味方も判別がつかなくなってきた。五感を犠牲にして使う奥義もすでに五発放っている。おかげで最後の視力も尽きてきたようで、辺りが薄暗い。声も出ているか怪しい。聴力も僅かだ。

 


「……ごめんね」

 

「ーーっ……! 姫様。大丈夫ですよ。私がここにいますから」


「……分かった。あとはよろしくね」


「はい……。姫様」

 

「これで頼りのお姫様がお眠りね」


「……エデン・レイ……!」


「ヘイ様! 下がって」



 宙から無動作で放たれた爆撃をすんでのところで夢野に助けられた。シールドを張って防いだようだ。


「ありがとう。夢野、姫様を」 


「……御意に」



 冷たくなった身体を夢野に託し、すぐに下がっていく彼女を見送った。



「この地球ほしも、もう終わりね」


「そりゃ、あれだけ核撃ったしな。当然だろ。おかげでさっきから地響きと熱がすごい」


「他はほとんど死んだぞ。おまえはよく生きているな」


「まあね。色々とバフ掛けてもらってるから。……二人のお姫様に」



 背の二倍もの刀身のある大剣刀を召喚、抜刀。これも夢野の能力の一つ。彼女の恩恵だ。思いが詰まっている。感情の一撃にしてやる。



「人間甘く見るなよ……。最低でも道連れにする……!」


「良かろう。来るが良い」



 武器の刀身は電子的な青白い光を帯び始め、それを地に叩きつけて勢いつけて宙へ飛翔。空浮かぶ一人の少女へ向かっていく。会敵したその刹那の光が、二人の姿を消し去った。跡には爆音と爆風のみが残った。



※ ※ ※




 




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