2章目:騎士団の依頼

第15話 初めての使命依頼

 ゴブリンとの同盟を結んだ私達。

 ギルドから大金たいきんを貰ってしばらくクエストを休んでいたのだが、今日は久しぶりに冒険者ギルドにやって来た。


「おっ、来たぜ!」

「スーパールーキーじゃねぇか!」


 何故かギルドに行くと、私達は他の冒険者に取り囲まれてしまった。

 あれからしばらく冒険者ギルドに足を運んでいなかったが、私達のことは少しだけうわさになっていた。“超凄いルーキーがいる”と言う話だ。


「スーパールーキー?」

「お前ら2人凄いじゃねえか。ゴブリン達を返り討ちにしたんだってな!」

「えっ?」

「バッタバッタとゴブリン達を次々に倒していくなんて、ルーキーのやることじゃねえよ。まさにスーパールーキーだな!」

「なっ!」


 酒にった冒険者のオジサンが私達にそう語りかける。如何やら噂に尾ひれがついてしまったらしい。

 でも知名度ちめいどが上がったので、クエストを優先的ゆうせんてき斡旋あっせんしてくれるかもしれないと、フェルルへ嬉しそうだった。ちなみに私はそんなでもない。


「ごめんなさい、私達クエストを見に行きたくて」

「ちょっと通してねー」


 私とフェルルは無理矢理押し通る。

 何とかボードの前までやって来ると、少し見ない間にクエストが様変わりしていた。毎日毎日これだけの依頼がやって来るなんて、本当に冒険者はいそがしい。


「今日は何にするの、師匠?」

「うーん」


 私は腕を組んで悩んだ。

 しかしそんな私達に声をかけたのはクレアさんだった。


「あっ、お2人とも久しぶりですね」

「あっ、クレアさん」

「如何したの?」


 フェルルは早速クレアさんに聞いた。

 何だか言いたそうな雰囲気ふんいきがあったから、それに気づいたみたいだ。


「クレアさん、何かあったの?」

「はい。実はお2人に指名依頼しめいいらいが来ているんです」

「「指名依頼!?」」


 それってつまり、私達に直々じきじきに依頼がされたってことだよね。

 凄いな、でも一体誰から?


「で、一体誰から依頼が来たの?」

「実は騎士団からなんです」

「「騎士団!?」」


 それを聞いて私達は驚いた。

 騎士団と言うのは、国から派遣はけんされた、いわゆる警察けいさつみたいなものだ。

 それがこの冒険者の町にもあるって言うのは、フェルルから聞いていたけど、驚いた。しかも私達に依頼って、一体何だろうね。


「それが詳しくは聞いていないんですよ。ただ、もし冒険者ギルドに来ることがあったら、騎士団支部きしだんしぶに来てほしいとのことです」

「騎士団支部かー。あんまり好きじゃないんだよねー、あそこ」


 フェルルの気持ちがしずみこむ。

 明らかに気分がだだ下がりだった。


「フェルル、大丈夫?」

「うん。私が嫌いなのは騎士の人じゃなくて、騎士団だから」


 何だか含みのある言い回しだ。

 そんなフェルルを気遣きづかうように、私は少し依頼を受けるか躊躇ためらった。しかし腹をくくったのは、フェルルの方で自分で自分のほほを思いっきり引っ叩く。


「よし、大丈夫」

「本当にフェルル?」

「うん。それに、私達に依頼ってことは、アイツの顔がどんなになってるか、想像そうぞうするだけで、楽しくなっちゃうよ」

「アイツ?」


 私はフェルルの言葉に首をかしげつつも、一応いちおう依頼を受けるのでした。

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