思い出せない恋のはじまり。

Y kono

第1話 心地よい暖かさ

俺は今気を失っていたような気がする。


手元は何か暖かい液体で濡れていて、そして眠い。


一体さっきまで何をしていたんだろう。

全く覚えていない。


ここは薄暗く、少し寒い。

周りや自分の状況もあまり見えない。

地下の部屋?なのか、、、


体力の限界なのか、うまく動けない。

なぜこんな状況になっているんだろうか。


何だか眠くなってきた。



コクッ、、、


目を開けてられない。


コクッ、、



、、、




、、、、






、、、、、、、、






朝日が顔に差し、心地よい気温。今日は最高の目覚めだ。



昨日は疲れていたのかな。

酷い夢を見た気がする。


今日はバイトの日、、、のようだ。カレンダーにメモしてる。

なぜだか前日の記憶や、今日が何曜日かもよく覚えていない。


クローゼットにホームセンターの制服が入っていた。


バイトは午後からだから、とりあえず店の場所とこれからの予定なんかも調べないと。


記憶喪失になったのかもしれない。

ある程度の一般常識とか言語なんかは覚えているが、

名前とか何をしていたとか、そういった事は思い出せない。




、、、と、とにかく周りに迷惑かけないように、怪しまれないように、色々思い出さないと。



近所のホームセンターでのバイトを週5日ほどしていたようだ。

手帳には注意点なんかが細かく記されていた。

かなり几帳面な性格だったと見える。


お昼は冷凍庫に入っていた冷凍パスタと、冷蔵されていたケーキを。


パスタはとても好きだったようだ。

かなりおいしいし、この味はなじみがある気がする。


このアパートにはもう一部屋あり、荷物なんかは何も置いていない。

だから一人暮らしをしていることは間違いないだろう。




少しゆっくりしていたが、そろそろバイトに行かないと遅れる。


着替えて家を出た。


家で調べたものの、歩き出すと身体が覚えているのか、迷わず行けた。




「お疲れ様で~す。」



ここでは目立たないように、量産型な店員を目指そう。



今日は品出し。カートに載せてある商品を場に出していく。

お客さんに話しかけられない限りはこのまま単純作業を繰り返すだけ。



はぁ。肉体作業などの体力を使う仕事ではないが、

商品数も多いし敷地も大きいので帰るころにはへとへとだろう。



何か新鮮な気持ちで仕事をしているからか、流れる時間も早く眠くはならない。



今日のバイトは何事もなく終了した。


ただ、


ただ、もし仲良くしていた同僚の方がいたとしたら、

今日は無言で仕事していたので不思議に思われているかもしれない。




何故記憶を失くしたのかはわからないが、元の自分は平凡な生活をしていたようだ。


バイト先では誰も気にしていないようだったので、事故や事件というわけでもなさそうだし。

長期で休んでいたような感じもしない。

他に部屋が汚れているわけでもなく、冷蔵庫の中身も消費期限切れのものも無い。


そのため、昨日寝て起きるまでの間に何かあったと考えるのが妥当だろう。

特に体に痛みがあるわけでもなく、ケガをしているわけでもない。


アパートで独り暮らしということはどこかに実家があり、両親もいるはずだ。


財布は見つけてあるので、以前の自分に申し訳ないがスーパーで買い物を。

二日分くらいの買い物で良いだろう。


ようやく家に着いた。

今日は疲れたけど、ゆっくりお風呂でも入ろうか。


浴槽にお湯を張り、風呂につかる。


はぁ。今日は身体を沢山使ったからかあちこち痛む。

もしかしたらバイトではこれ程身体を酷使しない方が良いのかもしれない。


少し眠くなってきている。

今日したことはバイトに行ったことと、買い物。

それから自分のことを思い出す作業、、、



、、、


コクッ


なんか手にシャンプー?何か暖かいものが、、、


コクッ


、、、、


は、眠るところだった。


あ、あれ、何かを思い出しかけた?



風呂場で寝るのは危険と聞く。

早く上がって、ご飯を食べて、今日の所はベッドでゆっくり休むか。


冷凍食品というのはやめられないな。

便利でおいしい。

最近は様々な種類の食品があって、さらにはデザートまで。


明日も午後からバイトだ。

今日の所はゆっくり寝て、明日は遅めに起きよう。


今日は力を入れすぎた。

もう少し効率を落としても怒られるほどではないだろう。

何より、これでは一週間身体が持たない。


コクッ、


コクッ、、



なんだか身体の至る所が痛い。気がする?

身体の先から冷えてきている気がする。


お腹のあたりはとても暖かい。?


手で触ると少し湿っている?

なんだか心地よい暖かさで、、、


何かをこぼしたのだろうか。



、、、、「君が悪いんだからね?」



今、何か聞こえた?


この部屋には誰もいないはず。

そもそも一人暮らしだ。

少し目を開けると、薄暗く、さっきまでいた部屋ではない?

底冷えするような寒さ。倉庫?地下?といった感じだ。


だけど、眠いのか疲れすぎて動けない。


コツ、コツ、コツ


誰かが近づいている?


目が開けられない。

こんなに疲れていたっけ。


、、



、、、



、、、、、



、、、、、、、



つづく


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