私達の社長は府中三億円事件の犯人です

興梠司

第1話 三億円は何処へ行った

1968年におきた府中三億円事件、日本国民なら知らぬものはいないだろう。

ここで告白する。


「府中三億円事件を起こした犯人は私だ」

社長の告白を聞き会議場はどどよめきをがいした。

朝の緊急会議のことだった、また社長の与太話が始まったかとおもい社員もいたが

今回ばかりは違っていた。


今朝の朝刊で【3億円事件の真犯人は大手薬品会社の代表】と出たのだ、昭和43年のことが、令和になってでもでるかと思われたが朝刊が出て以降犯人探しが始まった、当社にも「犯人はお前のところの代表か」という問い合わせがいくつも入った。

社長に近い人間が社長に冗談半分で話したところ緊急会議が開かれた。


以下は会議で離れた社長の談話になる、


当時社長の大西は大学2年生で授業もサボるような人物だった、大西とエミとタカヤでいろんな事をしたという、スーパーでも万引き、緊急通報へのいたずら、ボヤ騒ぎ、なにかあるときは常に一緒だった。


そんなある日、エミが言った一言「三億円強盗しない?」という軽い言葉だった。お大西もタカヤも冗談だと思っていた、今までは小悪党でしれていたが三億円なんて強盗したら大悪党になってしまう。タカヤは笑い飛ばし「そんなの無理」と言った。

「それが無理じゃないんだよ、タカヤくん」といい府中の地図を出してきた、その地図には赤いマーカーで線で書かれいた。エミが言うには三億円の輸送者の通過点だという、この当時三億円の輸送者を狙おうとするものは少なからずいた、大西の耳にも入っていた。


その地図をエミが体を使って他のグループからもらってきたものだ、エミいわくその地図をくれたいちもつは使い物にならなくなったという、怖い話つき


「やるの?やらないの?」とエミはタカヤに迫った、大西はもうやるものだとエミに思われていた、大西はエミがやるといったものに拒否をしたことが無かった。

タカヤも仕方なく「やるよ」と言った、そこからは早かった。


【翌7日午後5時までに指定の場所に300万円を女性行員に持ってこさせないと、支店長宅を爆破する】

という手紙を日本信託銀行へ送りつけた、現場には50人近い警察官がいたが実際に物事が起きることは無かったがエミたちは知っている。

これは他のグループが送ったもので現場に警察官が居たので引き返してきただけの話だという、運が良ければ300万円を取ろうとしたが運がなくて取れなかったという話だが心理戦にはこれが役にたつのだった。


脅迫未遂事件からの四日後、12月10日午前9時15分、日本信託銀行国分寺支店から東京芝浦電気府中工場へ、工場従業員に支給するボーナス2億9430万7500円の現金が入ったジュラルミン製トランクケース3個を輸送する現金輸送車(日産セドリック1900カスタム)が銀行を出発した。


大西達は自作の白バイを作り「学園通り」を半分くらい走行したところで、突然後方から警察の白バイが猛スピードで現れ、走行中の現金輸送車を反対車線から追い抜き、警察官が左手を挙げながら輸送車の前を塞いで停車させた。


この時は大西一人の犯行で「小金井署の者ですが、巣鴨警察署からの緊急連絡で、貴方の銀行の巣鴨支店長宅が爆破されました。この輸送車にもダイナマイトが仕掛けられているという連絡があったので、車の中を調べて下さい」と言ったが運転手が「昨日点検したが、そのようなものは無かった」と答え、後部座席に乗車していた行員二人も車内を確認したが、それらしき物は見つからなかった。白バイ警察官が「車の下に有るかもしれない」と言ったことから銀行員たちは念のため車の外に出ることになった。このとき運転手は輸送車のエンジンは切ったが、キーは差したまま車を降りた。そのキーには車のトランクやジュラルミンケースのキーも一緒に束ねて付けてあった。大西は、車の前方へ回り、ボンネットを開けてエンジン周りを点検したあと、現金輸送車の下周りを捜索し始めた。


四日前別のグループが脅迫状をおくったおかげで銀行で不審物には十分きをつけるようにとお達しが出ていた従業員の緊張も十分に達していた。


大西は車の下に潜り赤灯と白煙灯をおき「あったぞ!ダイナマイトだ!爆発するぞ! 早く逃げろ!」と叫び従業員を100メートル以上退避させその間に大西が現金輸送車にのりとんずらをこいた。


従業員たちはいつまで待っても爆発しない白煙灯を眺めていてバックミラーで確認した大西はハンドルから手をはなして叩いて笑った。

三億円は10分程度かからず大西の手元に入った。


現金輸送車はあきる野に乗り捨てのちに発見されることもなくスクラップとされた。

警察の執拗な捜査で複数人の自殺、警察官の過労死で時効をむかえたこの事件は大西らに捜査の手が伸びることはなかった。誰も大西たちが犯人だと気づくことなくこの日を迎えた。


何故今光を浴びたのかという話にタカヤの裏切りがあった。

3ヶ月前金をかしてくれと打診があったが大西はつっぱねた、タカヤには3000万以上の金を貸している、それを100万でも返してから言えと言ったが

タカヤは全てさらけだすと言って何処かへ去っていった。

それが今回の記事となる。


社長は40分以上話続けた、誰もが真剣に聞き続けた、都市伝説かした三億円事件の話をこんな形できけると社員は誰一人思わなかっただろう。


社長はこの話を表にださないという条件で社長を退任することにした


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る