第50話 キャンプでの食事

 明日、奈良の明日香村に行くために出発します。距離にして60キロ程。仕事を終えた昼過ぎに、スーパーカブで向かいます。スーパーカブは50ccなので、スピード違反に気を付けないといけません。ノロノロと走っていると日が暮れてしまいます。今の時期は、夕方の5時ごろには暗くなるので、その日に到着するのは難しい。途中で一泊することになります。


 奈良から大阪に向けて、生駒山を分断するようにして大和川が流れています。その辺りで、野宿をします。前回、良い場所を見つけたので、今回もそこにするつもりです。誰もいません。誰もやってきません。大和川を見下ろす山の中です。


 夜になると真っ暗になります。最近めっきりと冷え込んできたので、平地より冷え込むでしょう。ただ、夏ではないので虫に悩まされません。そうした意味では、かなり快適です。


 夜に溶け込み独りになるというのは、怖い様に感じるかもしれません。僕も、初めての頃は怖かったです。もしかすると、何かしらの動物に襲われるかもしれません。しかし、考えてもみてください。動物も人間が怖いのです。お互い様です。若い頃から、延べ100回は野宿をしてきたと思います。一回も襲われたことはありません。一応、安全対策として、一晩中、スピーカーで音楽を流し続けます。音のバリアーです。


 僕のキャンプでの食事は、最近は固定されています。スチールで出来た可愛い七輪で、鶏の炭火焼きを調理します。鶏は出発直前に仕込みます。ニンニクを擦り付けて、塩コショウと酒で下味をつけます。


 折角の炭火焼きなので、今回は牛蒡と蓮根も焼くことにしました。根菜類を焼く場合は少し下準備が必要です。牛蒡と蓮根を綺麗に洗い、白だしで煮込みます。触感が失われたら美味しくないので、3分くらいと短めです。そのまま冷まして、一晩付け込んでおきます。明日出発する直前に引き上げて、現地で焼きます。そうそう、ニンニクも焼きます。


 ビールを飲みながら、そうした炭火焼きを嗜むのですが、それだけでは寒い。同時に、スープも作ります。簡単なスープです。炭火焼きと同じ食材を入れて、スープを飲むことで体を温めます。


 炭火焼きを食べつくしたら、その七輪で焚火を楽しみます。周辺から集めた小枝を、七輪にくべて炎を楽しみます。見ているだけで楽しいです。色んな事を考えます。考え事をしながら、今度はウィスキーを飲みます。アテは、チーズとアーモンド。それだけです。ウィスキーの場合は、それだけで良い。他のアテは欲しくありません。ストレートで嗜みます。


 毎度のことですが、かなり酔います。この宇宙と溶け込むような感覚に陥りながら、後はテントに潜り込み寝ます。明日が楽しみです。

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