『特売のぬらりひょん』

石燕の筆(影絵草子)

第1話

スーパーに、『ぬらりひょん』 というカップ麺みたいな容器があり、 値段を見ると、なんと500円。 特売の文字。 主婦の詠美は、買ってみることにした。 お湯をいれて三分。湯で戻してつくる。まんまカップ麺だ。 一時間かかるらしく、出掛けて帰ってみると、


知らない着物のおじいさんが、 居間でお茶を飲んでいる。 どうやら、説明書を読むと、世話をすると、いいことがある。 ただし、取り扱いには十分注意を。とある。 お茶うけの煎餅を出したり、ぬらりひょんの機嫌をとると、 翌日、旦那さんの出世が決まる。


ただ、育て方が悪かったのか、ぬらりひょんは死んでしまう。


また同じスーパーに行くと、特売で『河童』が売られている。詠美は、迷わず買うことにした。


部屋の角には、大量のごみ袋があり、たくさんのカップ麺の容器と『妖怪』の死体が入っている。


そして詠美は、再び一時間経過するのを、今か今かと頬杖をついて待つのだ。

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『特売のぬらりひょん』 石燕の筆(影絵草子) @masingan

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