#13
「はーい、座ってー」
誰かが着席を呼びかけながら入ってくる。
2人から視線を逸らして前を見ると、眠たそうにした教師が教壇に立っていた。
「私は監査委員会担当の児玉、委員長と副委員長はさっき決めたから後は頼むねー」
それだけ言うとさっさと出て行く児玉先生。仕事の説明もせずに帰るなんて許されるのだろうか。いや、いいけど。
すると、2人の生徒が立ち上がり、前に出るやいなや話し始めた。
「やっほー!あたしは監査委員長になった、3年3組の朱膳寺苺(しゅぜんじ いちご)だよ!」
「俺は監査副委員長の3年2組、紺迫柾(こんさこ まさき)だ。よろしく」
挨拶をしているが、去年僕は委員長どころか他の委員と一度も絡んで無い筈だ。適当に説明して早く終わってもらいたい。
「色々緊張してるかもしれないし...新入生の皆んなもいるから、全員自己紹介しよっか!じゃあ廊下側からよろしくー!」
「自己紹介?そんなことやってる暇ないぞ」
「いーじゃん、上級生も新入生の事知りたいだろうし、ここで運命の出会いがあるかもしれないじゃん!さぁどうぞー!」
唐突に我々も自己紹介をすると決まる。絶対要らんだろ。時間の無駄だ。
渋々と話し始める1年生に続いて、1人1人自己紹介をしていく。まともに聞いてないので、今話している奴の名前も分かってない。
「伊折君」
「...どうした」
前の席に座っていた白渡が声を掛けてくる。
「伊折君の彼女って名乗っていい?」
「先に確認したのは殊勝だな、副委員長の彼女とかならいいぞ」
「そんな...仕方ないから伊折君のフィアンセにしとくね」
こいつ頭おかしいよな。知ってたけど。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます