#3
黒瀬楓(くろせ かえで)。
一歳年下の幼馴染で、家族を除けば1番付き合いが長い人間であり、進学する度に友人が消えていった自分と未だに絡んでいる珍しい存在。
物静かに見えて変に度胸がある、料理が下手、トマトが苦手等々、知っていることもあるが、正直何考えてるかよく分からん少女。
バスに乗った今も空いている席を無視して隣に座って来ている。今日は新学年初テストがあるのだが、これでは気になって勉強出来ない。
「......」
横を見ると、無表情で僕の顔を眺め続ける彼女と目が合う。
「......」
「.........」
何だこの空間。
うるさかった新入生達の声はいつの間にか収まり、自分達に妙な視線とひそひそ声が向けられている。僕がヘタレだとかカスとか噂するのはどういうことなんですかね?
「先輩」
「はいなんでしょう」
突然黒瀬に話しかけられる。気を遣われたのだろうか。いや、多分こいつはそんな空気を読む様な奴ではない。
何せこいつは数年前、友人の誕生日パーティ中に草刈をするとか言って帰った女だぞ。因みに僕も来ていたのだが、ボードゲームで圧倒的にリードしていたのに無理矢理草刈に連行させられた。許せない。
「入学初日から先輩がなんとかって話を聞いたけど、どういうことなの」
「知らん」
「先輩が白渡さんの熱烈なアプローチを適当に流して逃げたクズ野郎という話を学校で聞いたけど、何のこと」
「はい?」
え、何その評価?
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