(三)

 夜に自宅に戻ると、彼女は既に部屋にいた。

「ねえ、どういうことなの?」

 僕は彼女に昼間も竹橋から聞いたことを話し、問い詰めた。

「よく言われる。わがままで、自分勝手で、気まぐれで、まるで猫みたいって。でもね、自分にはやりたいことがあるの。なんとしてもね。だからそういう噂は、私は恐れないよ」

 彼女はベッドのへりに座り、笑顔で僕を見た。

「僕のことは、どうでもいいの?」

「そんなことはないよ。だからこうして君の部屋に転がり込んだんじゃない」

 彼女は少しむっときたのかもしれない。少し真顔に戻った。


(続く)

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る