(二)-14

 文学部キャンパスの正門の前を通りかかったとき、キャンパスの中から女学生数人組が歩いてきた。その中に、僕は見つけてしまった。彼女がそこにいることに。友人と思しき女子大生二人と仲良く談笑しながら校舎のスロープを降りて門のところまでさしかかっていたのだった。

 僕はちょうど門の前を通り過ぎようとしていた。ふとキャンパス内に目を向けていた。そのまま歩いて通り過ぎようとしたところで、彼女の存在に気づいたのだ。

 彼女は談笑に夢中らしく、僕に気づいてはいないようだった。僕は目を疑った。彼女がまさか学部は違うとはいえ同じ大学の学生とは思わなかった。僕はその必要はないのに、慌てて近くの電柱に身を隠した。そして彼女の方を見た。


(続く)

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