(二)-13

 すぐに無くしてしまうようなドヂっ子ということなのだろうか。こんなに美人なのに意外だなぁと思った。

「へえ、そうなの。うっかりやさんなんだね」

 僕は「ちょっと待って」と携帯の操作をして番号を確認した。

 彼女は「まあ、ね」と言って僕の顔を見た。続けて自分の番号を僕に教えてくれた。

「そういえば、ちゃんと言ってなかったね、私の名前。私は船橋愛梨咲(ありさ)よ」

 彼女はそう言って満面の笑顔を見せてくれた。僕はそのまぶしさに、卒倒しそうになった。

 翌日大学へ行った。三限目は休講になったので、僕は本部のキャンパスから文学部のキャンパスの端にあるサークル部室棟へ向かった。


(続く)

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る