エルシャ祭り
第16話
エルシャ祭りが始まった。
ラジオのチャンネルをどんなに回しても、複数の会社の新聞を読んでも、内容は殆どがその祭りの事ばかりを大きく掲載し出す。
ジャックはテレビはあまり見ない
「テレビも立派な情報収集源なのよ。これ、古いけど一応綺麗に映るから見てみなさいよ。特に、私が出ている番組とか」
と、ゴミ同然の中古のテレビを押し付けられた。それは現在も一応現役であり、「貴方まだその
ジャックがテレビを利用していないタイミングでは、主に布を被せて部屋の隅に置いているか、レイヴンが情報収集に利用している。時折真顔で子供向けらしい番組やアニメーションを見ている事もある(テレビは随分と古い物であり、尚且つ目立たなかったので何もされていなかった)。
それは兎も角、そういう祭りの時期は特にメディアが盛り上がる。かくいうジャックも、アンジェラに取材やら何やらで引っ張り回された。
数日前から世間は祭りの準備などで騒がしかったし、武器屋や丈夫なシェルター、保存食のCMやのぼり、広告。果てにはビラまでもが大量に垂れ流されていた。
それは戦う術を持たない者達への親切であり、己の身を守りたいがために先制攻撃しようと考える者達への、暴力の推奨であった。
元々のエルシャ祭りは何だったのかは知らないが、神の名を持つ祭りなので本当は神を祀る祭りだったのではないだろうか(本当に知らないが)。まあジャック自身にはどうでも良い事だ。中には『誰でも殺していい日』『凄く人が死ぬ日』だと認識している人も多いだろう。ジャックには心底関係ないが。
何がどうであれ、大量に人が亡くなる日なので兎角周囲は騒がしくなる。アンジェラのせいで大体的に姿が
×
「……随分と歩き難くなったねぇ」
薄汚れた石畳に転がる、元の姿も判らない肉塊を横に蹴飛ばした。祭りの最中、場所によっては死体を拾っている暇も無いので、転がったそれらは大衆に踏まれて蹴られて、直ぐに足元がぐちゃぐちゃになってしまうのだ。
「……葬儀屋や掃除屋は大変だろうなぁ」
祭りの後を思った。
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