『自身』の在り処
第13話
「あ、そろそろ行かなきゃ」
少し針の歪んだ掛け時計を見(掛け時計は家具では無いらしい》、アンジェラは立ち上がる。アンジェラが
「あれ、もう行くの?」
思ったより早い退出にジャックは思わず声を掛けた。
「引き留めてくれるの?珍しいわね」
赤い目を細めてアンジェラは笑う。
「でもごめんなさいね。どんなに
「……うん、そうだねぇ」
彼女の中では承認欲求を満たす事が、何より最優先のようだ(勿論ジャックは知っているけれど)。
「色々取材の準備をしなきゃいけないの」
だってそろそろ
それもそうか、とジャックは納得する。
さっと荷物をまとめ、「何かまた面白いことあったら聞かせてね」と、アンジェラは廃墟から去っていった。
×
「……『身体が腐り始めている』、ねぇ」
ジャックは客人の居なくなったソファに座り、先程自身で吐いた言葉を呟く。
ジャックは意識があった頃からずっと、
何処からか転生させられたのかはもう覚えていなかったが、己の醜さに酷く狼狽えた記憶はあった。
「……(きっと、
ジャックは身体の向きを変え、ソファに横たわる。作り物の目蓋を閉じて『自身』について思考を巡らせることにした。しばらくは仕事も無いし、何もせずにただ考えるだけの時間があっても良い筈だ。
「……」
……そういえば、仕留め損ねた
部屋が随分と静かになった。いつのまにか、
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます