第12話
「ふふ、何そのクソつまらないスクープ!」
全然使えないわ、とレイヴンの入れた紅茶を飲みつつ、アンジェラはジャックの語った
「気になるから話せ」と散々せっついた挙句の感想がこれだ。ジャック自身の名誉や色々の為に、アンジェラが話を引き出す為に提示した
「あ、でもダーリンが獲物を逃したって所
アンジェラは紅茶のカップとソーサーを、ソファ以外の家具が一切無いので、空いている座面の上にそっと置いた。——因みに、レイヴンは仕方ないとして、家主である筈のジャックも、座らずにずっと立ちっぱなしである。客人のアンジェラのみが、この建物唯一の家具に座っている。
アンジェラはメモ帳とペンを取り出し、(色々と勝手に着色しながら)ジャックの語った内容を書き込んでいく。実に楽しそうに書き込んでいるが、酷く不名誉な記事になりそうな予感しかしなかった。
「……あのねぇ」
ジャックはアンジェラを止めようとして腕を伸ばした
——筈だった。
「…っ、」
ブツン、と回線が切れたかのような感覚と共に急に腕に力が入らなくなり、だらり、と身体の横に下がった。
「……どうしたのかしら、その腕」
アンジェラは、ジャックを見て首を傾げる。さら、と艶やかな黒髪が揺れる。
「……何でも、ないよ」
ジャックは庇うように、腕を摩る。
「ふうん。……私に隠し事をしても、何も良いことはないわよ?」
アンジェラは
「……最近、身体が思うように動かなくなってるだけ、なんだよ」
誤魔化してもしょうがない、とジャックは繕うのをやめて正直に話した。別に、不名誉極まりないフェイクニュースを恐れたわけでは無い。……そういうことにして欲しい。
「あら、もう歳なのかしら?」
煽るように問う彼女に、
「かもねぇ。……多分、身体が腐り始めてるのかも」
ジャックは戯けて笑う。
「君と同じ人工物の身体でも、オレは『生モノ』だからさ」
身体の外身の泥とか藁とか、色々新しく入れ替えてたんだけどね、と偽物の肌の腕を見ながら答える。
「もうそろそろ死んでもいい頃合いだ。500年は、流石に長すぎたんだ」
というか生きるの飽きてきたんだよねぇ、とジャックは呟く。
「……あら、そう」
アンジェラは少し、つまらなそうに返事をした。
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