世界一くだらない物語
サムライ・ビジョン
第1話 世紀の大泥棒
「君たちはアイロンアイランドに向かってくれ。そのかん私はウキウキ料亭に聞き込みをしてくる」
そう言うとヘガデル巡査部長は特大オナラで天高く飛んでいった。今日は星が綺麗だ。
「それにしてもアイロンアイランドか…正直オレ苦手なんだよなぁ…」
ポップマン巡査はポップヘッドをポップしながら愚痴をこぼした。
「なぜですか? アイロンアイランド、通称アイアイはとても楽しいレジャー施設じゃないですか」
「いやなぁ…元カノと初めてデートしたときにさ? ピンポンダッシュが…」
[ニノミヤ、マツジュン、オーノ、ボーノ…]
ピンポンダッシュがなんなのか気になるのに電話がかかってきてしまった。
「なんですか〜」
「大事な話〜 なんかね〜? アイアイにね〜? 例の大泥棒がね〜? いた。」
赤ちゃんですか。僕は口の中からうるし塗りのアバンギャルドが出てきたのを感じた。
「わっかりマンゴスチン! 捕まえたらいいんですね?」
「そうなの。捕まえなさい。ちなみにマンゴスチンって何? 新しい下ネ…」
ピポットテーブル! まったくあの人には呆れて仕方がないね。
「ポップマン巡査! 犯人はアイアイにおるらしいで! はよ捕まえな怒られるで〜」
「ミスターバカヤロー、自分なんでそんな関西弁なん? …あかん、ウチまでうつってもうたわ。ヘイ、フラパン!」
フラパンというのはもちろんフランスパンのことだ。3秒ルールは通用しないのでフランスパンは浮かせよう! あれ? フランスパンを浮かせたら…なんか乗り物っぽいぞ!
…というのがフラパンタクシーの起源だ。昔の野郎どもは賢い。
「お客さん、どちらまで?」
「アイロンアイランドまで」
「カップルかい?」
「ふふっ…今は昔」と、俺。
「竹取のアッキーナ」と、ポップマン。
「着きましたヨ〜ウ!」
フラパン運転手がダウントカウンTVのメガネのヤツみたいな言い方をした。
「ありがとうございます。手持ちのお金がないので、とりあえず松ぼっくりで」
俺がそう言うと、運転手は激怒してフラパンタクシーで襲ってきた。
「ふざけやがって! 松ぼっくりってお金の代わりになるのかよ! なるんだったら借金返せたのに!」
なんてデンジャラスなやつなんだ…人の命をポケットティッシュくらいにしか思っていない…そういえばポケットティッシュってさ、1枚だけでいいのにいっぺんにめっちゃ取れるよな、ゴッソリと。そのせいで想定よりもすぐになくなって…
「ミスバ! 前!」
ミスバだと? 人をドーナツみたいに呼びやがって! でも確かに危なかった。目の前にアイアイを取り囲む塀が迫っていた。
「仕方ない…」
本当はできるだけ使いたくなかったが、俺のリュックに手を入れた。
「何が出るかな! 何が出るかな!」
ランダムだ。空高くジャンプできる道具が欲しいのだが、果たして出るだろうか…
「ろけつとらんちやあ」
あらやだ! ロケットランチャーが出てきたわ〜ん!
とりあえず普通にぶっ放して塀を壊した。
依然として運転手は追いかけてくる。
ポップマン巡査は…向こうの方で線香花火を楽しんでいる。クソッ…なんで俺だけ…
「あれっ?」
なんと幸運なことだろう。遠くの方に俺たちが追っていた大泥棒がいたのだ。大泥棒は今まさにロケットで逃げようとしている。
「させるか!」
俺はすかさずリュックに手を突っ込んだ。
「オーノ、ボーノ」
着信音のような物が出てきた。斧か…
このままじゃ大泥棒を殺しかねないが、後ろから迫るフラパンだって俺を殺そうとしてるんだ…先っちょだけ! 先っちょだけなら殺してもいいよね?
「エイッ! ガンギエイッ!」
思いきり斧を投げると、大泥棒にもロケットにも当たらず、アイアイ内にあるサーカスのテントを突き抜けた。…アイアイナイ?
「プシュー…」
ヤバい…極度のストレスにより、大泥棒が「プシュー」と言いはじめた…
「ボバァン!」
なんてこったマンゴープリン、いやパンナコッタだろ。俺までつられて言ってしまった…
「ぐへぇ!!」
フラパンが俺の体にぶち当たった。続いて大泥棒にもぶち当たった。
「!!ぇへぐ」
右から左だなんてアラビア語じゃあるまいし…次の瞬間にはロケットにもぶち当たった。
「いてぇ!!」
お前にも痛覚あったんかい。
「ボバァン!」
今のは俺ではなくロケットの声だ。
フラパンが勢いよくぶつかってしまったがためにツングースカ大爆発してしまったのだ。
ツングースカ大爆発のことはウィキウィキのペディペディのアアで調べてくれ。
「お手柄だぞ、ミスバ…」
「その呼び方やめてください…俺はミスターバカヤローですってば…」
結果として大泥棒は粉々になり、盗まれた心は返ってこなかった。なにがお手柄だよ…
「おめでと〜う!」
ヘガデル巡査部長もコングラッチュレーション・ゲッチュローション。
あはん、イナズマケーキ…
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