ヴィラレットの剣技 パワードスーツ ガイファント外伝 〜達人の域に達した剣技は、新たな境地を見極める 二刀流の剣技を閃く〜
逢明日いずな
第1話 新たな剣技 〜手に入れた新たな剣〜
チーター系亜人のヴィラレットは、カインクムから試作品の剣を、格安で購入し、そして、使い勝手を報告するようになっていた。
その試作品の剣というのは、斬る為の剣であり、一般的な斬る剣といっても、叩いた瞬間に、剣には大きな力が掛かるので、刃幅も刃厚も厚く造られる。
その結果、斬るというより、叩きつけるような感覚なのだが、カインクムの試作品は、刃幅も刃厚も薄く、それでいて、よく斬れる。
この剣は、刃の部分が鋼鉄を使用し、なおかつ、焼き入れを行うことで、刃の硬度がとても高くなっている。
しかし、剣の芯は、軟鉄を使用している。
この剣は、場所によって硬度が大きく異なる。
そのため、斬れ味を重視しているのだが、硬い物でも、当たった瞬間、内部の軟鉄が、その衝撃を吸収してくれる。
剣は、軟鉄に鋼鉄を、コの字型に合わせて、叩いて伸ばして、直剣の形にする。
そして、焼き入れをする際、刃側と峰側の温度の下がり具合を調整することで、綺麗な弧を描く曲剣にさせるのだ。
カインクムは、転移者であるジューネスティーンの持っていた剣を、一眼で惚れ込み、作り方を聞き、それを実践した。
カインクムの鍛冶屋としての長年の経験と感性が、話を聞いただけで、この剣を作ってしまったのだ。
素人ではなく、達人の域に達する人だからこそ、一度聞いただけで、ポイントを押さえてしまい、材料から、その工程と完成までをイメージしたことで、簡単に作ってしまったのだ。
そして、その剣の試し斬りをした時、メンバーの全員が、使い勝手の良さから、直ぐに5人が、自分の剣を作ってもらうために発注をしていた。
カインクムの試作品の剣は、斬る剣なので、軽く弧を描くように反っており、ただ、先端の方は反りが強くない。
それは、突く事も考慮されているので、使う者の用途に対応した作りになっているのだ。
その剣は、ヴィラレットの剣技にとても馴染む剣だったのだ。
ヴィラレットは、ユーリカリアの、Aランクパーティーに入れてもらった新人だ。
Aランクのパーティーに新人が入るなんて事は、力差が大きいこともあって一緒のパーティーになる事は稀なことなのだが、その剣技に、ユーリカリアと、特に、副リーダーである、女性エルフのウィルリーンに気に入られたのだ。
新人が、Aランクパーティーに入れてもらえる事は、稀な例ではあるが、ウィルリーンの強い勧めもあって、採用されているのだ。
ヴィラレットは、いつものように魔物の狩を行なっている。
前衛として、ユーリカリアと2人で前に出る。
そして、ユーリカリアの後ろには、リザードマンの女性である、長身のフェイルカミラが、槍を持ってフォローをし、ヴィラレットの直ぐに後ろには、ウサギの亜人であるフィルルカーシャが、剣を構えている。
ただ、フィルルカーシャは、背が低いので、間合いが短い事を、剣の柄を刃以上に長くすることで補っていた。
そして、後衛には、弓の名手である、エルフの女性のシェルリーンと、魔法を担当するウィルリーンが控えていた。
いつもの、パーティー戦の隊列となっていた。
そして戦闘は、ウィルリーンの遠距離魔法によって始まる。
魔物達の中に炎の魔法で攻撃すると、1匹の魔物が炎に包まれた。
そして1匹が倒れると周囲の魔物達が魔法を放ったウィルリーンの魔法につられて移動してきた。
それをウィルリーンが徐々に魔法で倒していると、シェルリーンも弓を構えて矢を射りはじめた。
その矢は大きく弧を描くように飛ぶと、正確に魔物の脳天を撃ち抜いていった。
シェルリーンは、スキルによって、遠距離でも正確に撃ち抜く事が可能なのだが、今回は、2人の攻撃で思ったような数に減らせずにいた。
今日の狩りは、思った以上に魔物が多いことが、ヴィラレットにも分かったようだ。
「ヴィラレット、今日は、少し、魔物が多そうだ。 前衛の私達は、魔物を抑えることが目的だが、1匹だけに気を取られずに、後ろの魔物にも気をつけるようにな」
ユーリカリアが、注意を促してきたので、ヴィラレットは、ユーリカリアも同じ意見だと思い安心したようだ。
「はい、気をつけます」
その声には、変な緊張感もなく、冷静に判断していると思い、ユーリカリアは安心したようだ。
向かってくる魔物に対して、ヴィラレットは、先頭の魔物に目をつけた。
魔物は、腕を振り回してくるのだが、その腕には、防御魔法がかかっている。
上位の魔物は、魔法を使うものが多いので、その魔物の腕を剣で受けても、刃が入ることはない。
一般的に、この魔物と対峙するには、腕を受け流してから、首や胴体を斬るのだ。
ヴィラレットは、距離が詰まってくると、腰から剣を引き抜いた。
それは、刃渡り80センチのカインクムが新たな技術を聞いて作った初めての剣で、刃幅も3センチ程と細く、そして刃厚も薄かったが、一般的な斬る剣と比べたら明らかに細身の剣を両手で持って構えていた。
通常通り、後衛のエルフの2人が、向かってくる魔物に矢と魔法で、数を減らしに掛かったのだが、いつもより、残っている魔物の数が多いこともあり、魔法と弓では減らしきれずにいた。
結果、前衛と接敵するまでに、思ったように減ってこなかったのだ。
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