野外芝居の恋の結末

菜梨タレ蔵

第1話

≪ 登場人物 ≫

カラス(カ)…弟(21歳)ミズカを妹と思いたくない。

ハルシオ(ハ)…兄(23歳)ミズカは可愛い妹。

ミズカ(ミ)…従者の娘(18歳)ハルシオさんはお兄さん、カラスさんは…。


ハーデル(デ)…舞台俳優(19歳)カラスとミズカの幼馴染。

シルフィ(シ)…ハーデルの姉。ミズカと仲良し。カラスが好き。

おじさん(髭)…ハーデルとシルフィのお父さん。


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(屋敷の庭にて)

カ:鼻歌なんてご機嫌だね。何かいい事でもあった?

ハ:今夜シルフィと芝居に行くんだって。ハーデルが出演するそうだ。

カ:え、でも確かアイツ弁護士を目指してたんじゃなかったっけ?

特待生で奨学金貰って全寮制の学校に行ったって聞いたけど?

ハ:なりたいものが変わることもあるだろ。

カ:だとしても変わりすぎでしょ?

ハ:その辺の詳しいことはミズカに聞くといいよ。

手紙をやり取りしていたようだから。

カ:は?俺そんなの聞いてない。

ハ:お前が聞いていなかっただけじゃないのか?

毎晩出かけて朝帰り、昼間はほとんど寝てるし、話をする機会もなかっただろう。

カ:…そうだね。

ハ:それにお前のその顔を見ると、言いたくない気持ちもわからなくもないな。

お前はミズカの事になるといつも余裕のない顔になる。

カ: 兄 として、妹の心配をしているだけさ。兄さんと一緒だよ。

ハ:よく言うよ、そんな風に思ってもいないくせに。

ま、あの子はいつも遠慮して、年頃の娘らしい事もさせてもらえなかった。

たまにはいいだろう?

カ:…まぁ、芝居のチケットは高額で、すぐに金持ちが買い占めるから、

平民には見る機会なんて殆どない。楽しんでくるといいさ。

ハ:夜は暗いからな。帰りは迎えに行ってやれよ。

(芝居当日、屋敷内)

母:あら可愛いじゃない!

父:とても良く似合ってるよ。

ミ:ハルシオ兄さん、ありがとうございます。

ハ:(嬉しそうに笑っている)

カ:どういうこと?兄さん。

ハ:こういう機会でもないと新しい服なんて買ってやれないからな。

うん、良く似合ってるよ。

(ミズカがカラスをチラ見)

カ:馬子にも衣裳って言葉があるけどその通りだよね(とか皮肉を言う)

ミ:(ムッとして無視)では、いってきます。

皆:いってらっしゃい。

(玄関出てすぐ)

ミ:カラスさんはいつものお出かけですか?

カ:まぁね。

ミ:…なんですか?

カ:着る服でだいぶ雰囲気が変わるよねぇ。お子様ミズカが年相応に見える。

ど、どうせいつも子供っぽいですよ!

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