黄色が春を告げる。

電気代や様々なものが高騰しても寒さには勝てないとエアコンをついつい点けてしまう。暖かい日差しに春の気配を感じつつも、朝晩の冷え込みはまだまだ冬。冷たい北風に身体を窄めるようにして縁台で煙草を吸っている私の眼に届いたのは、狭い花壇から送られてきた春の足音。知らぬ間にそんな季節になっていたのかと、殺風景の中に生える鮮やかな黄色。今年もまたお前たちが一番乗りかと黄色いクロッカスを眺める。植え替えも必要としない球根は不精な私に最適で、徐々にその数を増やして行ってくれる。十数厘の花が一斉に咲きほころうと準備している。


なぜ黄色なのかはわからない。理由でもあるのかと検索を掛けると、面白いことに紫から咲き出すという家もあった。それ以外では我が家と同じ黄色。品種なのか土なのか疑問は尽きないにしても、花壇のこの色を見るとなんだかホッとする。もちろん花だけではなく雑草も春を待ってたばかりに顔を出し始めている。

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