第2話 決別

「俺の話を聞いてくれないか?」とコウさんに言われたのは高橋とあって一週間たった頃だった。コウさんからミッション以外で呼び出されることは無かったので不思議に感じた。


呼び出されたのは道頓堀にある、ルノアール。大事な話をするときはルノアールと決まっている。コウさんは待ち合わせの一時間前からルノアールにやってきてミルクティーを3杯飲み干した。

時間ギリギリにやってきた柚月は遅くなった事を詫た。


コウさんの頼みは最初からわかっていた、高橋から「息子を殺せ」と言われ「わかりました」という親はいない。柚月もそうだった。高橋に嫁と娘を人質にとられやむなくミッションをこなしていた。人質に取られていなければこんなことはしていなかったと思う日もあるが多分していただろうと思いにふけるのを辞める。


コウさんからのミッションを承諾し、コウさんの息子の自宅に向かった、息子の拓哉は柚月が来たことに驚愕をしたがなにを受け止め近くにある、包丁を自分の首におしつけようとしたが、柚月は慌てて包丁を捨てた。

今回のミッションは拓哉を殺すというミッションではない、拓哉を守るというのがコウさんからもらったミッションだ、総額5000万、高橋からのミッションは200万、どっちを取るかなんて小学生からでもわかることだ。


拓哉と家族に逃げるための地下の部屋がある地図を渡し、柚月は家を後にした。

柚月は改めて娘に会いたいと思った、今でも会えないわけではないが、高橋の傘下のもと会う気はなかった。


嫁に【この生活はもい終わりだ】とLINEでメッセージを残し拓哉の家を後にし、高橋のビルに向かった、柚月がこのビルに一人で訪れたのは娘と嫁が拉致られたあの日だけだった。あの日侵入した柚月はボディーガードにぶん殴られごみ置き場び捨てられ、コウさんに見つけられ運ばれた。

コウさんのテントで話したことは今でも覚えている。

コウさんも今の柚月と一緒で家族を人質にとられ、裏稼業をしていた。


今回の高橋の依頼は人質の殺害だった、コウさんは察した。人質を抹殺されるということはコウさん自信も殺される可能性があるということを悟っていた。


秘書は一人で来ることのない柚月を不思議と眺める、高橋の部屋の前にはボディーガードが立っているが、かつての柚月とは違う、片手で男たちをなぎ倒し。拳銃を持って高橋の部屋に入り込んだ。


「なに騒いでるんだ」という高橋、高橋は柚月が来た意図をわかっているようだった。「俺を殺しに来たんだろ」と言いテーブルの引き出しから拳銃を出し、拳銃コメカミにあて「ミッション失敗だな」といい引き金を引いた。

舎弟に娘の場所を聞き出し、道頓堀にある一軒家にむかった、嫁は夕食を作っている途中で娘は柚月に気づいて「パパ−」と駆け寄った。


これで家族3人で暮らせると思い柚月は涙を流した。

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