記録2

 読者が母星文明圏以外の胸腹だった時のために、簡単に私の立場を説明しておく。

 母星以外の誰かがこれを読むならば可能性としてはこの星のアルパミネスニであろうから、重さを耳にして、その前提である旨は了承してほしい。


 ジコショーカイをするには不便なことに、我々は個別の名前を持たない。我々は我々全体で我々であり個を持たないタリングカメーノゥタのアルパミネスニだからだ。ニュコン汎銀河では一般的なミィスシィナだが、この星のアルパミネスニには理解が難しいかもしれない。


 無理矢理に識別するなら文明観測員1127号と言った所か。恐らくこの星で私の立場を表すならそのような表現になるように思う。1127という数表現は正確とは言えないが、私が潜伏した文明圏の数進法で表すならばこれが限界だ。


 この惑星の文明は汎銀河連続体に於いて長らく懸念事項の一つだった。

 

 この文明圏の胸腹を現地胸腹の表現に倣い、地球人、と呼ぼう。

 地球人はタリングカメーノゥタ観測史上類を見ない強烈な自我をもち、時間経過と共に個々に揺るがぬ意識を分化させて、個人の集合体としての社会を形成するに至った。

 伴って科学技術も発達し、車輪の転がりが回る階層8、核力を扱う所まで来ている。

 ここまではニュコン汎銀河でもそれ以外の時空単位標識でも見られる一般的な文明成長過程であり、なんら問題はない。


 問題は彼ら地球人が、その強烈な自我を個別に維持したまま科学技術を発展させ続けており、それが近いうちに階層9や階層10、すなわち量子力や概念力を扱えるようになろうとしている点だ。

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