最強剣術使いの記憶喪失~剣の腕のおかげで美少女と一緒に旅に出る事になりました~
ハル
第一節:港に流れ着く青年
とある港町の浜辺でひとりの船乗りが酒に酔っていた。
「ちくしょう! なんだよ、船が出せねぇってよぉ! 魔物達の野郎! 俺達の稼ぎを潰しやがってよぉ!」
漁師としてこの港町で働くこの男は、この日仕事を失った。
古くより、勇者と魔王の
神からの恩恵とされる自然と魔法の力を借り、人々は平和に、そして穏やかに暮らしていた。
しかし、世界は今まさに、その平穏が崩れ去ろうとしていた。
およそ半年ほど前から続く、世界各地で魔物が異常な繁殖。
勇者伝説の時代、魔界よりやってきたと言われる悪しき獣、魔物。
その繁殖の勢いは人々を苦しめ海の魔物にも及び、ついには危険が伴う渡航、漁業は禁じられ船乗り達の仕事を奪っていた。
「ちくしょう、魔物なんてよぉ・・・魔物なんてよぉ!
・・・ん? なんだ、ありゃ?」
怒りをどこにぶつければいいかわからない船乗りは、ふと少し離れた波打ち際にある何かが見えた。
「はっ⁉ 人⁉ 人が倒れてるっ⁉ なんだなんだ、どざえもんか⁉」
酔ってふらついた脚を慌ただしく前へ進めて、船乗りはそれに近づいた。
ぐったりと力なく倒れていたそれは、全身に傷を負い、異国の鎧を身に纏った白い肌の青年だった。
「なんだこの兄ちゃん? こんな白い肌、このあたりの奴じゃねえな。 鎧なんて着て、どこかの兵士か?
しかし、すげえ傷だな・・・。 おい、兄ちゃん大丈夫か? 生きて・・・るわけないよな」
「う・・・うぅ・・・!」
突然、声を出した青年に、船乗りは驚いて尻餅をつく。
驚きとズボンが波に濡れた冷たさから、酔いもすっかり冷めた船乗りは急いでその傷ついた青年を波打ち際から引き上げる。
「おい! 兄ちゃん、生きてるのか⁉ ま、待ってろ‼ 今、治癒魔法が使える奴を呼んでくるからよ‼ しっかりしろ‼」
「俺は・・・、ここは・・・?」
力なく声を絞り出す青年に、船乗りは声をかける。
「兄ちゃん、自分の名前は言えるか?」
「俺は・・・アルヴァ・・・。俺は・・・、
誰・・・だ・・・?」
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