得意 × 環境
シヨゥ
第1話
周りに比べてなにかが得意というのは強みだ。だがしかし、得意であるからの苦労もある。
例えば勉強が得意な学生は背負いたくないものを背負う可能性がある。友達からは
「今度勉強を教えてくれよ」
と頼まれるかもしれない。教師からは、
「次も期待しているぞ」
と期待されるかもしれない。頼られること、期待されることを評価されていると前向きにとらえられる性格ならまだいい。これを重荷だととらえる学生もいるのだ。そう僕だった。
昔から人と話すよりも自分の世界に閉じこもるのが好きだった。自分と向き合い、自分を磨き、自分を成長させる。僕の成長に他人はいらず、僕は僕が育てる。そんな内気な性格だった。
そんなだからか黙々と何かをするのが好きだった。特に勉強なんかは黙々と繰り返すだけで知識が定着していくのを感じられて好きだった。知識が僕を引っ張ってくれる。そんな感じだ。
周りを知識量で上回る僕にテストで勝てるクラスメイトなんているわけなく常に1位。競争に勝って嬉しい。そう思ったのは初回だけだった。
クラスメイトからの質問や相談が僕の時間を奪っていく。教師の期待が僕のやる気を奪っていく。周りの雑音が僕の世界を狭めていく。
そんな環境に耐えられるわけもなく。僕は高校を中退した。
得意は強みというわけではない。得意を活かせる環境が揃ってはじめて強みになるのだ。
今は家に引きこもって大学入学資格検定に向けて勉強中。誰からも邪魔されない雑音のない環境で一心不乱に勉強に打ち込むことができている。それがただただ嬉しかった。
自分の得意を活かせていない。そう感じた時は環境を改めるのが良いだろう。
得意を活かすも殺すも自分次第なのだ。同じ過ちを犯さないためにもそう肝に銘じて生きたい。そう思うのだ。
得意 × 環境 シヨゥ @Shiyoxu
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