第37回「2000文字以内でお題に挑戦!」企画 クロノヒョウ様

 俺達はいつか売れっ子芸人を目指して、ライブを細々とやってるコンビ芸人だ。

 

 今日は先に売れた後輩のおかげで、ライブハウスは満員御礼だ。ここで笑いをとって売れる足がかりにするんだ。

 

 俺達は意気揚々と舞台へ上がったのだった。

 

「「どうも~、ヘルフラワーです!!」」


 あれ?なんかアウェー?

 

「「ショートコント、サーファー」」

 

「うぅ~寒い!!でも、マイナス8度の海辺でプロポーズするぞ」

 

「イエーイ、ヒャッホー」

 

「なんで真冬にサーファーが?」

 

「265度だ。めっちゃ暑いだろ?まだまだ夏だろ?」

 

「それはケルビン温度だ!!」

 

「夏と言えば夏だっと、なにぃ!?波が凍りついた!!」

 

「・・・」

 

「ツッコミ!!ツッコミをプリーズ!!凍えてしまう」

 

「知るか!!そのまま伝説になってろ」

 

「こんな滑れないスベった伝説は嫌すぎるからヘルプミー」

 

 シーン、ライブハウスは静寂だ。無反応なここは地獄かな?

 

「「続きましてショートコント、雪山遭難」」

 

「やべぇよ滑落したら装備無くなったな」

 

「こんなこともあろうかとポケットに忍ばせたっす。アインスタイニウムっす」

 

「おい、キロ単位で出すな!!それはマイクログラム単位で合成される放射性元素だろ?危ないからしまえ」

 

「まだあるっす。二次○ポケットっす」

 

「そこは四次元にしてくれ!!」

 

「まだあるっす。鎌倉市っす」

 

「バカ!!雪山に街を置くな崩れるだろ?そのポケットが四次○ポケットだよ!!」

 

 シーン、ライブハウスは静寂に支配された。マジ?ここは地獄の底か?誰か笑ってくれ。

 

「「続きまして、ショートコント、また明日会えたら」」

 

「また明日会えたら続きを教えてやろうか」

 

「魔法の使い方以前になんだよ。隠しステータスって」

 

「また明日会えたらだ。ヒントはマグマの上だ。ではな」

 

「大賢者はワープ出来るのか。なら考えろ、俺!マグマの上はどこだ?あっ魔熊山まぐまやまという山がある。そこの山頂に違いない。うぉーー!!居ないだと!?どこだ?しまったあるじゃないか。火竜山には火竜の口顎と呼ばれる火口があった。クソッタレ!隣の大陸じゃないか!!ゼェゼェ、続きを教えてくれ」

 

「お主、魔法いらなくないかのぉ。全部肉体で解決するやつが何故魔法なのじゃ?」

 

「それはな、大賢者になれば

 

「おっと日が変わった。また明日会えたらだ。ヒントは仄暗い水の底の真っ暗な底じゃ。ではさらば」

 

 何だよそれ?仄暗い水の底??やっぱりあそこしかねぇ。冒頭の村の落ちると濡れるだけの底が暗い井戸に違いない。幸いここからは山を下ればすぐだ」

 

 井戸に飛び込むと俺は濡れた。底は暗い・・・


「大賢者が居ないじゃないか!!いやこの下にもう一つ底があるのでは?うぉぉぉ!!そして日が昇るまで掘りまくるぞ!!軽く2000メートル掘ったら地底湖を見つけたぜ」

 

「お主馬鹿じゃろ?」

 

ブクブク、ブクブク水中じゃ息でない!!

 

「また明日会えたらにしてやろう。ヒントは、樹海じゃ」

 

「ぷはぁ樹海なら楽勝!!島国の山の麓だろ!!うりゃゃぁぁ!!大賢者!!俺は魔法使いになってモテたい!!」

 

「魔法が使えるからモテるのではない。金じゃ金、ワシはバイじゃからな五億でお主を一晩買おう」

 

「俺は女好きだがいいだろう。この五億でモテるぞー!!」

 

 ライブハウスのエアコンの音しかしない。地獄すぎる。

 

「「最後にショートコント、大喜利」」

 

 予定変更!!これしかないだろう。

 

「時代劇の『水戸黄門〔水戸光國〕』一行が、ついに日本を飛び出して海外漫遊をはじめ

 ました。黄門さま一行が要る国はどこですか?そこで、黄門一行は何をしていますか?」

 

「アメリカにいる。フライドコーラとフライドバター、フライドポテト、フライドピザ縛り旅で体重激増中」

 

 

 

「お盆やお彼岸に、ご先祖様はどこから帰ってくる?」

 

「ネズミのいる拝金主義の巣窟たる夢の国」

 

 

 

「手相の三大線、感情線・頭脳戦……最後の一つは何?」

 

「ネズミの夢の国に課金するほど伸びる線」

 

 

 

「宮本武蔵と佐々木小次郎が、対決した島の名前は?」

 

「ネズミの夢の国の本土」

 

 

「世界の三大珍味を、三つすべて答えてください」

 

「カレー、ビーフシチュー、◯んこ」




……



……


 

 エアコンの風の音さえもしなくなった。最後『あんこ』もだめだった。本当に地獄だ。


 もし僅かでも、読者様が笑ってくれたらなら、その笑顔がこの地獄に咲いた花だろう。

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