第2回「エイル&クロノヒョウコラボ企画」 クロノヒョウ 様
振り向くとそこには、シンシンと雪が舞う氷つく寸前の大海原と夕日、砂浜という幻想的な世界が広がっている。
そこはプロポーズにもってこいの人気のない場所だ。実際に俺は彼女を連れてプロポーズにチャレンジしようとしてた。
幻想的な世界にいた俺の兄という異物によって中断させられている。
「ヒャッハー弟よ、一緒にサーフィンしようぜ」
俺と彼女はコートに手袋、耳当てと完全防寒のなのに兄は、海パンいっちょで雪が降る海でサーフィンをしてる。
「何度だと思ってんだ!!できるわけ無いだろが」
「265度だ。めっちゃ暑いだろ?まだまだ夏だろ?」
「それはケルビン温度だ!!氷点下8℃で裸とかバカだろ」
「サーフィンに命賭けてるからな」
「アホなんだな?こんな兄とか最悪だよ」
「そう?1つの事を努力出来るってカッコいいよ?乗り換えようかな?」
「どこが!!よく見て!!今は真冬!!雪てっるから!!海パンのみっておかしいから!!」
「最近夜明けも早いし、夕暮れも遅くなってきたもう夏だろ?」
「冬至よりも一番寒い時期はあとにくるからな!!今は真冬!!」
「もぉ、怒ってばかっかりで、面白くないよ?それよりもあの肉体美はやっぱりステキ」
彼女が発言する。
「眼科行く?あんなガクブル震えて青白いバカなんだよ?」
「うぉーー!!モテ期きたーー!!一緒にサーフィンしようぜ」
「誰がさせるかぁー!!彼女が死ぬわ!!」
「サーフィンお願いしますね」
「ちょっと!?なんで??俺普通だよね?」
「弟よ。常識はな。世界を正しく見れなくする色眼鏡なんだぜ?」
「キャーーカッコいい」
「常識じゃねぇよ!!雪の降る夕日の海に水着で入ったら死ぬのは事実だぁぁ!!」
「俺は君の水着姿形みたいぜ」
「えっと水着無いしんー下着だから。んーとんー」
「凍え死ぬ彼女とか見たくねぇ!!あと下着でサーフィンとか痴女か?」
「アツい激アツな展開だぜ!!見てくれ俺のチューブライディング」
巻く波の中を抜けるように雪の降る夕暮れの中でサーフィンをする海パンいっちょバカな兄。
「(*ノェノ)キャー惚れちゃう」
「えっ、別れる?なんか人生を一緒に歩める気がしない」
「(--〆)」
「ヒャッハー!!エアリアルで逝くしかねぇ((((;゚Д゚))))ガクガクブルブル」
飛び出そうとして、波が凍りついて、サーフボードが完全停止すると兄はなぜか冷や汗をポタポタ流してる。
「「「・・・」」」
ヒューウーー
「な?サーフィン無理だろ?」
「ブラザーよ!!ツッコミ!!ツッコミをプリーズ!!凍えてしまう」
「知るか!!そのまま伝説になってろ」
「こんな滑れないスベった伝説は嫌すぎるからヘルプミー」
「ねぇ?それで?で?」
あれ?彼女の絶対零度の声が兄へ突き刺さる。
「うぉーー俺のハートはまだ凍ってない!!無限のハート熱で融けろぉーー」
「そんな熱量は存在しねぇから!!」
そこに沖から波で凍った波が砕けて兄は、波乗りへ復帰した。
「キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!サーファーは永遠に不滅なり」
「そのまま凍りつけよ!!」
兄はなぜか波乗りでどこかで去っていった。
「(・д・)チッあのバカを沈め損ねたぜ」
「夏の約束覚えてる?」
彼女が唐突にそんなことを言う。
「あぁ。でも気にしてないから」
会社を首になった彼女が夏の間に、就職したら結婚しようってやつだ。俺は頑張って出世も出来そうだし、プロポーズを敢行しようとしたんだ。
「サーファーがいたからまだ残暑だよね?ほら夏みたいものだよね?ね?」
「残暑は氷点下8度じゃもうないと思う」
「サーファーがいたからまだ残暑だよね?ほら夏みたいものだからね?ね?」
ちょっと泣きそうな上目遣いは反則だ。
「えっと、残暑なのかなぁ?」
「うん。だからね。合格した。約束守れた。結婚を許して下さい」
「えっと、うん。結婚しようか」
「マジで私と弟の為に身体をはったお兄さん最高だった。空気も読め人だった。だからお兄さんと結婚します」
「チクショー!なんでだよ!!もう頭おかしい同士好きにしろ!!」
帰宅すると、彼女に無理矢理サーフィンさせられた兄貴は当然ながら風邪をひいた。そして俺の元カノに、看病されて結婚した。
・・・この冬の残暑は酷かった。
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