【エイルの挑戦状3】 エイル

 僕は社会人となって3年目の高卒だ。最近は変なウイルスとかで大変だけど、親元だし生活に困らない収入源は十分にある。

 

 弟はゲイでムキムキマッチョでヤンデレなブラコンなんだけど、俺は女の子が好きな普通な、ちょっと優しすぎる人間だと思う。

 

 そんな僕が土曜日の朝の惰眠をむさぼってるとスマホに着信がある。

 

 ♪〜♪〜♪〜♪〜♪〜♪

 

 スマホには僕の親友からの着信が表示されてる。朝早い時間にあいつが起きてるなんて珍しいなと思いながら、通話を開始する。

 

『元気にしてるか?ちょっと迷惑かけそうだから謝っとこうと思ってな』

 

「なんだよ、僕との仲だろ?ダチ何だから遠慮するなよ」

 

『そうか♪実はな前に10万の借金の連帯保証人に、なってもらったろ?』

 

「あれか、10万円くらいお前にプレゼントしたと思ってるし、返済してやるぜ」

 

『10万$な、アメリカの10万ドルだから。あとな資金不足で追加も発生してて60億ドルになったから。俺は完成した宇宙船で宇宙にバックレるから借金返済は任せた。それじゃアルファ・ケンタウリ行って来るな。発進!!』

 

 ツーツーツー

 

「はぁ!?何やってんの!?1ドル135円として、えーと・・・60億ドルは8千100億円か?そっかぁ~8千100億円くらいなら返せる・・・わけないだろうが!!」

 

 ツーツーツー、スマホの通話は終わっている。

 

 折返し電話するけど、圏外らしく繋がらない。そうだよな宇宙は圏外だよな。

 

 ピンポーン、呼び鈴が来客を知らせるけどそれどころじゃない。

 

 ピンポーン、ピンポーン、ピンポーン、ガコ!?ボコ!?ピンポーン、ゴリゴリ

 

 明らかに玄関ドアからヤバい音が混じってるから、仕方なく来客を出迎えるために玄関に向かう。

 

「今開けまーす」

 

 ずがーん!!玄関ドアはガタイのいい黒スーツの男に破壊されとれた。やのつく人かな?

 

「もう開けたから気にするな」

 

「せめてピッキングして!!玄関ドアを力技で破壊しないでくれる?弁償してよ!!」

 

「60億ドルも借金あるクズに言われても説得力ないぜ」

 

「借金と権利は別のだからね!!連帯保証人だしクズ違う」

 

「何を言ってもな、返済期限という約束も守れないクズだろ?即時返済してもらえるか?」

 

「8千100億円も返済できる奴がいたら教えてくれ!!世界最強の空母より高いんじゃボケェ!!」

 

「そんなに高額を無計画に借りる奴が悪いよな?」

 

「その前に、貸すなよ!!というか60億ドルもよく貸せたな」

 

「貸してくれと言われたらどんなに高額でも用意して貸すのが、俺たち闇金の仕事だ」

 

「かっこ良く言ってもアホだよな?回収出来ないだろ?」

 

「俺達はな、常に世界貢献を考えている。世界のためなら金を貸すのだよ」

 

「そうだな、宇宙船が完成したもんな。だったら世界のために返済しなくていいよな?」

 

「それとこれは別だ。ビジネスだからさぁ。返して貰わないと困る事も分かれ」

 

「めっちゃ怖い!!そんな金は、一生働いても用意出来ないから!!諦めてくれ」

 

「なに言ってんの?ほらお前のサインした契約書のコピーだ。よく見ろ」

 

「なにも変なことは書いてないぞ?」

 

「裏も読むのは基本だろ?」

 

「そうだよな。裏も読まないとな・・・『借金返済が出来ないと客観的に判断される場合は連帯保証人の内臓を全てドナー提供すれば借金返済したとみなすことに同意する。』『上記の条項により、借金上限を撤廃し、追加資金を年率15%で返済日まで追加出来る』・・・はぁ!?ナニコレ」

 

「骨の髄まで提供すれば良いというわけでだ。誰が見ても客観的に返済不可能だし、お前も返済不可能を認めたな?よし活きが良いうちに手術しようか。手術車はそこに用意してある」

 

「いやー死にたくない!!」

 

 僕は凄まじい力の黒スーツの人に引きずられて、黒塗りのバンに連行される。窓も真っ黒で外も見えなくて、あっという間に手術台に固定される。

 

「外れねー!!こうなれば何考えるしかない!!奥の手、そうだよな。あれしかない!!G召喚券だ!!」

 

「悪いな世界に貢献する闇金の俺達が、責任を持って封印保管している」

 

「そっかぁ~ありがとうございます。おかけで地球は平和です」

 

「だろう?では世界に借金を返すなんて簡単な約束も守れないクズが貢献できる手術を始めよう。嬉しいだろ?」

 

「待て待て、家族に別れの挨拶させてくれ!!」

 

 やべぇ弟だけど、最期くらい電話してやろう。

 

「電話くらいは待ってやる。2分15秒で終わらせろ」

 

「なんで135秒なんだよ!!微妙すぎる!!」

 

「1ドル135円だからだ。経済にあやかった」

 

「そのチョイス意味が分からないからな」

 

 とにかく電話しよう。弟へ発信を押した瞬間に手術台に魔法陣が現れて僕は異世界転移した。

 

 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

「やぁ、異世界を救ってみないかい?特典は異世界で経過した時間は巻き戻す事と、一つ願いを叶える事だ。どうだい?」

 

「やります!!願いは60億ドルの借金返済です」

 

「魔王を倒したらプレゼントしようとも。もう一人、別の神が勇者を選んでるから、二人で頑張ってくれ」

 

「それは心強い。僕頑張ります」

 

 こうして異世界に0秒だけど旅立った。

 

 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 もう一人の、勇者は弟だった。まぁゲイだしムキムキマッチョだからさぁ、テンプレの絡んできた現地冒険者のケツは掘るし、ゴブリンはアイアンクローで頭を握りつぶした。

 

 僕は魔法職でそれなりに頑張ったよ。

 

 まぁ、魔王は肌が青いけど、イケメンな優男風だったから、弟のタイプだった。思わず大好きホールドしたら、全身粉砕骨折してそれが致命傷になって死んだよ。こうして異世界は救われた。

 

 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 弟へ発信した瞬間に、僕のポケットから小切手と通帳が出てくる。

 

 中身は60億ドルある。

 

「それで借金返済したら、いいよな?」

 

「ああ、確かに貸した元本の60億ドルは受け取ろうか。ところで、金借りたら利息つくよな?利息も払って貰えないか?421908750000円だが?」

 

「4219億0875万円!?」

 

「年率15%の複利だからな」

 

「返済額が1.5倍になってる!!複利ってすげぇな」

 

「というわけで電話終わったら手術するな」

 

 ここで一緒に戦った弟に電話がつながる。

 

『お兄ちゃん!!残りの人生を4219億875万円で買うよ』

 

 そうだったムキムキマッチョでゲイなんだけど、ヤンデレなブラコンなやべぇヤツなんだよ。

 

「仕方ない頼む」

 

『ヤッター、お兄ちゃんとずっと一緒に暮らせて監禁出来て嬉しい』

 

「俺は女の子が好きな人なんだ」

 

『お金はお兄ちゃんの人生を買って、一生絶対に困らないだけ、神様に貰ってあるから、女の子もいっぱい一緒に養える女の子たくさん飼って監禁していいから安心して』

 

「僕はやべぇ弟のヒモになったみたい」

 

「すまんな。お前の弟とは関わりたくない。借金返済されたしもう俺たちは、無関係だ」

 

「そんなぁ~」

 

 闇金もヤンデレなブラコンには勝てないらしい。

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