第55話大江城




出雲国では、砦に向かって突撃が決行された。

柵を乗越えて、続々と砦に侵入してゆく。


そして、門が開かれた。


尼子義久が連れて来た連中も、頑張って暴れまくっていた。

200人程度の砦だ、すぐに落ちた。



砦や山城を家臣団と一緒に落としていった。




目の前の城は、大江城。

この城は、毛利が今川を意識して急遽きゅうきょ、建設した城だった。


ここは山城でなく平城だ。


石垣も頑丈に積まれていた。

山の変わりに高い城壁が取囲んでいた。

その城壁の中に高い建物が建てられて守られていた。


大手門からはじまり、三の丸、二の丸下段、二の丸上段、本丸と続いていた。


その石垣の外は、ほりが掘られて水が満たされていた。


その堀に架かった橋は、すで壊されて城に入ることが出来ない。





陣中で岡部元信が言い放った。


「ここは、それがしに任せてもらいたい。本郷殿は連戦続きで疲れているでしょう。菅沼殿、飯尾殿、井伊もよろしいな」


「そう言うのならやってもらうしかなさそうだ。しかし、上手くいかなかった場合は、菅沼がやらさせてもらう・・・」


「好きにすればいい・・・皆、聞いたであろう。これからわれが攻め落として見せる。わはははは・・・」


豪快に笑って出て行った。




近くの村々から集めた小船で20で、水で満たされた堀を渡ろうとしている。


1隻に5人が乗ってぎ出した。

堀の真ん中で起きた。

城壁の狭間はざまから火縄銃や弓矢で狙われて、「バン、バン」と音がした。

矢に当たった足軽は、小船から水へと落ちた。少しあがいていたが沈んでいった。

中には船底に穴を開けられて、沈みだす小船もあった。

足軽の鎧が邪魔で上手く泳げない。


そのまま沈んだ小船は6隻。

1隻はあわてた足軽がひっくり返したものだった。




岡部元信は、悔しがっていた。

新調したばかりの軍配を、堀の中へ叩きつけていた。

岡部の家臣が「あ!」と声をもらしている。



それを見ていた菅沼定盈は、わしの番だと言いはなった。


「あの川から引き込まれる水を、せき止めればいい」


「せき止めてどうする。水位から考えてせき止めても、すぐには水は抜けないぞ」


「本当か?・・・・・・」


「どう考えても無理だな。それにぬかるんだ泥底を進むのも大変だぞ。それにその方法だとどれだけ日数が掛かるか分からん。そんな無駄は出来ぬ」


井伊直親「毛利の援軍も迫っています」


菅沼定盈は、皆からけちょんけちょんに言われていた。

ふてくされて「どうすればいい、わしは知らん」と反対に怒り出した。

そしてこの場から去っていった。



岡部元信や飯尾連龍と井伊直親は、俺の方を見ている。

お願いしますと言わないのか・・・「分かった。俺がやろう」



竹中半兵衛も、分かっていた。


すでに秘密裏に大きな荷物が運ばれていた。大きく被された布を引き剥がした。

そこには大砲があった。


大江城へ向かって並んだ大砲は3門だけだった。

それでも大砲の威力には自信があった。


「弾を込めろ」


大砲1門を4人で操作していた。

砲身の後部が開けられた。重い弾を2人係で運ばれて、セットした。

後部が閉められて、ロックされた。


「準備完了」


3門は、弾込めが整ったようだ。砲手が狙いを定めていた。


「右に2程向けろ。そうだそれでいい。今度は砲身を1度下げろ・・・・・・いつでも撃てます」


3門から、撃てる準備が整ったのを確認して、言い放った。


「撃て!!」


大砲の周りから人は離れた、そして砲手がひもを引張った。


『ドン、ドン、ドン』


3発が本丸に命中。命中した瞬間に破裂していた。

本丸の壁に、大きな穴が3つも開いている。


「撃て!!」


『ドン、ドン・・・ドン』


本丸は、すでに破壊つくされている。

又も砲弾が破裂して、頑丈だった石垣が崩れだした。


1時間も撃ち込んだだろう。

破壊された大手門から、人が現れた。

そして、大きな声で叫んでいた。


「もう止めてくれ。もう負けだ。許してくれ」


続々と叫ぶ者の数が増えていった。


大江城は落ちた。

城としての機能はすでに無くなっていた。



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