第75話パナマ運河と油田
本郷家の船団を渡米させて北アメリカ大陸を、更に南下させた。
メキシコを過ぎて、南アメリカの境に到着。
そして俺が知っているパナマ運河を着工する事を命じていた。
俺が居ないから、何度も失敗を繰り返した。
現地の家臣団は知恵を絞って、改良して独自の技術も投入した。
現場では、蒸気シャベルが土をすくい工事の一端を担っていた。
操作方法は難しく、沢山あるレバーを順番通りに押したり引いたりして、操作手順を間違えると「ガックン」と動かなくなった。
レバーに番号を書いて、悪戦苦戦しながら操作を覚える作業者たち。
「バカ野郎、もっとシャベルを下げろ、だから少ししか土をすくえないんだ」
「それは分ってますよ。タイミングが合わないだけです」
「根性が足らないから、そうなるんだよ」
「根性よりもう、腕がパンパンで動きません」
整地された地面の木枠に、生コンが流し込まれてゆく。
暑さのせいで、生コンも早く固くなるのも時間の問題だ。
棒を突っ込んで振動を与えた。生コンがすき間なく流れ込む工夫だった。
それをしないと、空気の層が出来てコンクリートの強度に問題が発生してしまう。
こんなに暑い所は、特に早く固くなる。
そして、汗だくになって、支給された塩飴をくちゅくちゅと舐めるしかなかった。
そしてこの辺は蚊が多く、マラリアや黄熱病の感染が考えられた。
その為に、蚊の駆除に熱心に取り組んだ。
俺が作った蚊取り線香をたきながらの作業だ。
医療隊の働きが効して、感染者も出なかった。
暑い地方の外国だ。ストレスも半端ない。
そんな状況下で働くのも辛い。
なので福利厚生にも気を配り、労働者たちの労働環境は非常に整ったものとなった。
風呂の設備を整えて、毎日入って清潔にしている。
食べ物も、好きなだけ食べてもOKだった。
1年が経過して、完成させることが出来た。
事実では10年も掛かったが、俺がパナマまで行き魔法で助けた。
土魔法でせき止めて、土をごっそりと収納。
2つの水門を一気に作り上げた。
水門の開閉も、巨大なモーターが行なう。
水の注入や排水もポンプの仕事だ。
その為に、人工湖を作って水の運用にした。
それによって、低い水位で水門を閉めて、1段高い水位にする為に水を注入。
高い水位の水門が開くと、その区間を通行できる。
そうすることで、船が海面より高い陸を通行出来るのだ。
ここパナマ運河を押える事は、重要だった。
ここを通ることで大西洋への航海が楽になる。
ここを通らないルートなら、南アメリカをもっと南下して大陸を回り込む必要があり。
時間と労力は半端ない。
将来的には、外国船の通行時に通行料を取る予定だ。
なので、防衛力を上げることも必要だった。
そして、運河幅が今後の船の制約になる。
この運河を通る為に、幅以上の船は造船できないからだ。
最小幅91メートルだった運河の幅を今回は、120メートルまで拡張。
最大幅200メートル、全長約80キロメートル、深さは一番浅い場所で16メートルである。
出来たばかりの運河に、我が船団が通行。
船団は、大西洋へ出た。
そして北に進路を取った。
行き先には、テキサス州があった所だ。
半年後に家臣から、油田の発見がようやく届いた。
俺の記憶では、テキサス州に無尽蔵に石油が理蔵していたはずだった。
テキサスは、カウボーイのイメージと結び付けられることが多いが、テキサス州の石油ブームは有名だった。
その知識を活かして、船団を行かせた。
ついでに牛の放牧も行なっている。
日本から連れてこられた和牛が、草をもぐもぐと食っている。
和牛を守るように柴犬が駆け走っていた。
柴犬は、狼の血を色濃く残した犬種だ。
訓練しだいで、狼にも立ち向かう犬だった。
「シバ、取って来い」小枝がくるくる回って地面に落ちた。
柴犬は駆け出して、小枝をくわえると戻ってきた。
「えらい、えらいぞ。もう1回ゆくぞーーホレーー」
又も柴犬は走り出した。
そんなシバを見守るように、シバの親犬2匹がお座りをしていた。
しっぽだけが激しく振っていた。
そして最大級に石油精製や石油化学プラントが建設中だった。
石油化学プラントでは、俺の錬金術の知識を使って色々な物が作られる。
石油から
ポリエステル繊維の原料はテレフタル酸とエチレングリコールの2つの化学物質で、元をたどると両方とも石油から作られる。
石油→ナフサ→パラキシレン→テレフタル酸
石油→エチレン→エチレングリコール
2つを
これを熱で溶かして、微細な穴がたくさん開いたノズルから押し出して空気中で冷却して、繊維化することによりポリエステル繊維が出来上がる。
そしてノズルの穴は、丸が基本だがY型や十形に変更することで、肌触りや吸水性などのさまざまな機能性を持たせることが可能。
日本でも重宝されだしている。
俺は大量の資金と人を投入。
そして巨大な都市に発展してゆく。
10階建てのビルが、建ち並んでいる。
「新しいかわら版が出来たよ。買った、買った、買わないと損するよ」
道行く人は、かわら版を求めて読んでいた。
男は、先物取引の入門コラムを読みふけっていた。
そして大きくなった都市の名が発表さていた。
都市の名は東京。京の東にある都なのでそんな風に名付けられた。
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