第72話太原雪斎と新天地




太原雪斎の葬儀が終わった。


大勢の参列であった。大名や公家も参列したにぎやかな葬儀であった。

しゅくしゅくと取り行なわれ、離れたところで今川義元は、ただ座って何も言葉を発することもなかった。

参列者は、深々とお辞儀をして話掛けても、聞いていないかのように何処かを見ていた。

仕方ないので俺が、ぼそぼそと小声でなにか言っているそぶりした。

これで悲しんでいると、思ってもらえればありがたい。


なので今川義元の前でお辞儀して、俺の前で話掛けるのが決まりのようになってしまった。

葬儀が終わる頃には、のどがからっからだった。


この葬儀を仕切ったのが、竹中半兵衛であった。



もう長く生きたと言って俺の回復魔法を断って、「最後の願いだ」と頼まれた。


「竹中半兵衛を、今川の軍師と大老に、頼む・・・」


その一言を言って、そのまま息を引き取った。

後ろでは、今川義元が泣いていて、最後の言葉が聞き取りにくかった。




「それでいいのか?」


「最後の言葉なので、断れませんよ」


「半兵衛、頼んだぞ」


「ありがたく受けたまわります」


「それで、大名達の不満をどうしたものか?」


「大名は何と言ってますか?」


「オーストラリアの一部を分け与えるか?、それともみんへの侵攻を許して欲しいと言ってきている」


しかし明を攻めて勝利しても、長らくはあっちこっちで反乱が起きるだろう。

広大で人種が入り混じっていて、多種多様の考えを持った人種が多い国だ。

中国の王朝が滅ぶ時は、大量に虐殺行為ぎゃくさつこういが起きる事を、俺は知っている。

そうすることで、人を恐怖で従わせて来た。

中国とは、そんな悲惨な国であって歴史が物語っている。

だから、日本人にそれが出来るのか・・・出来ないだろう。


それに引き換え、日本はおおいに発展してしまった。

やはり、農業発展が飛躍し過ぎた。

ローマ式コンクリートの技術を教えたことで、川の氾濫はんらん防止や港の建設が容易になった。


我が領土から販売された鉄も、日本の発展に拍車はくしゃをかけた。


日本は人口爆発で、人工が増える一方だった。開発出来る土地を欲しがっていた。

日本は山が占める割合が多い。開発にも限度があった。

俺の助けがないと思うよにも開発が進まない。


だから、俺は代案を出す事にした。


「明より打って付けの土地があります」


「それは、何処なのだ」


「アメリカ大陸です」


「アメリカ大陸とな、聞いたこともない」


俺は絵に描いた地図を広げて見せた。

そして、扇子で日本を指した。


「ここが日本で、ここがアメリカです。そしてここがオーストラリアです」


「・・・・・・これが日本なのか・・・」


「本郷様、この広い海を渡るには遠くないか?」


「遠い・・・しかし最新の船なら渡れなくはない。それに南蛮人も植民地として入植して、この広大な土地を奪っているのです。このまま指をくわえて見る積もりですか」


「すると戦うことにならないか?」


「奪う土地が西と東で遠く離れています。すぐに出会うことはないでしょう。それにこっちの勢力が揃えば何とかなるでしょう。それに大量の火縄銃が揃っています。この時代に、これ程の火縄銃を持っている国は少ないので大丈夫です」


「分かった。明日にも大名を集めて話してみよう。半兵衛はどう思う」


「それしか、解決方法は無いかと・・・」


「よし、詳しく検討しよう」


3人であれこれ話し合った。




大広間で、竹中半兵衛がアメリカ大陸について話した。


大名は、ジーと聞耳を立てて聞き入っている。

外様の大名は、真剣な顔であった。


そして、話が終わると質問タイムに入った。

あれこれ質問があったが、用意していた回答でなんとかなった。


アメリカ大陸へ行くのは、来年になった。

そして、アメリカに行く者は1ヶ月後に申請する事となった。


今川義元も、兵を募りだした。そして田畑を耕す農民も募りだした。

大名ばかりに土地を奪われたくない。そんな気持ちがふつふつと奮い立ったみたいだ。




新しく発見された金鉱に人々が殺到して、カリフォルニアで起こったゴールドラッシュも有名だ。


そして石油も俺に掛かれば容易に探せる。

だから船の造船に掛かろう。



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