第31話太原雪斎と石山本願寺と堺の商人




太原雪斎と対面していた。


「そなたとは、しっかりと話をしないまま、今に至った。そなたのことを聞き、まことに驚いた」


「驚いた・・・・」


「そうだ、桶狭間の戦いの5年前に、夢を見た」


「夢ですか?」


なんかこのフレーズは、聞いたことがあるぞ・・・


「赤い鬼が合戦で活躍する夢だった。そして、それがしに何かを渡してきた」


「それで・・・」


「それだけだ」


なんだよその夢は、何か意味があるのか?・・・

そして、密命を受けた。




今の大阪城に建っていた所に、石山本願寺が建っていた。

約545メートル×763メートルも広がる城塞のような作りになっていた。

戦国大名でも作らない程の、頑丈で攻め難い作りだった。

もしかして、豊臣秀吉とよとみひでよしが建てた大阪城より凄いかも知れない。



石山本願寺を守るように村々が配置されていて、村の作りも砦のように作られていた。

川が流れていた為に、物流も滞ることもなく荷物が運ばれており、結構な賑わいをみせていた。



そんな砦のような村に、俺はやって来ていた。

2万に及ぶ軍勢を引き連れていた。

今川の殿様から、石山本願寺へ1万貫の支払い命令を伝える為に来ていた。

この当時のレートでは16億円くらいになる。



前回、今川の殿様が上洛した際に、石山本願寺は5千貫を携えて今川に下った。


長島や紀伊と立て続けに一向一揆が壊滅かいめつ

何も打つ手もなく、短い時間での壊滅が応えたようで戦意喪失。

早くも今川の軍門に下った。



しかし今回は、加賀の一向一揆が動いたのが石山本願寺の差し金でないか、その疑問と服従度を見るためだ。

本当は、加賀一向一揆は勝手に動いたのは、忍者部隊によって分かっていた。

まさに言い掛かりに近い、クレームであった。




まさか証如しょうにょが来るとは思ってもいなかった。


俺の目の前の坊さんに隠れて、証如がこちらを見ていた。

名前の横には、△マークが表示。


どうやら敵対心はないようだ。



「今回が最後にして頂きたい。そちらの活躍によって門徒が少なくなり申した」


最後の抵抗のように嫌味を言ってきた。

その返事を返したのが、山田のおっさんだ。


「そちらが何もしなければ、こちらも何も言わぬ。いいか、若狭国や丹波と丹後には手を出すな」


ああ~あ・・・、若狭国や丹波と丹後への侵攻の事までばらしてしまった。

もし、ここから情報が洩れたらどうするんだ。

後ろの証如が驚いているではないか・・・


俺が見ても、目の前の坊さんは●赤丸マークだから仕方ない。

売り言葉に買い言葉だ。


俺は、急にクエストが発生しないかとドキドキしてしまった。

どうにか、1万貫の銭にて話がついた。





次の目的地に、我が軍勢が動いた。


堺を取り巻くように、軍勢が包囲。


海には、駆逐艦2隻が睨みをきかしている。

要求は一切しないまま、1日が経過。


しかし、内密に豪商の天王寺屋には理由が語られた。

堺の豪商の1店が三好と通じていて、上洛の情報もそこから三好に流れた。

なので、三好の動きが早かった。

本当なら、1戦交えて勝利したかったらしい。

それを聞いた今川の殿様は、ご立腹だった。


証拠の手紙も、ようやく今年になって手に入った。


『堺で起きた不始末は、堺でどうにかしろ』と厳重な命令だった。

そして、脅しの意味での包囲だった。


「まだ、話はつかないのか?天王寺屋はどうしているのだ」


「もうしばらくと、聞いてます」




「殿、手紙が届きました」


「それで・・・」


「明朝に発つ船に、豪商の家族が逃げ出すそうです。好きなようにして下さいと書かれてます。そしてお詫びに矢銭2万貫と書かれてます」


「すごい銭だな、その銭も俺に回せ。一昨日に新造された3万貫から、今川の殿様へ急いで回せ。分かっているな」


「ははー」



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