異世界生活スタート

 目が覚めると本当に知らない天井だった。

 上半身だけ起き上がる。どうやらベットの上らしい。

 当たりを見回してみると全身鏡やクローゼットがある。


「本当に異世界に来ちゃったんだなぁ」


 辺りの家具からここが自分の部屋でないことはわかる。

 目が覚めたら夢でした的な夢オチエンドを期待したのだが夢ではなかったらしい。

 ベットから降りて自分の姿を確認するために鏡の前に向かう。


「これが私?」


 鏡に写ったのは、透明感のある白い肌に綺麗な桃色のグラデーションの髪とグレーの瞳が映える美少女だった。

 年齢は18歳くらいだろうか。身長は160センチ後半程で出るところはちゃんと出ている。


「なかなかの美少女ね。この時点で異世界転生して良かったメーターが振り切ってる」


 前世もそこそこな美人だと思っていたが、流石に若い子の肌の艶は侮れない。

 今、私の顔はものすごくニマニマしていると思う。


「というか、なんで全裸なんだろう」


 鏡で自分の身体を確認しつつ苦笑を浮かべる。

 部屋にあったクローゼットを開けてみると1着の白いワンピースが掛かっていたのでそれを着る。


「他の部屋も見てみようかな」


 内装は先程の寝室と四人掛けのテーブルと椅子、キッチン、ソファといった感じのシンプルなリビング。

 そしてなんとトイレは洋式の水洗である。どういう仕組みなのかは異世界なので深く触れないでおく。


「最低限は生活できるようになってるし、あとは…………」


 キッチンがあるので食材がどこかにあるはずなのだ。流石に転生したばかりのいたいけな美少女に狩りをして食材を調達なんてできるわけが無い。

 出入口から外に出てみると左側に小さな小屋を見つけた。多分あそこに食材などがあるはずだ。


「あぁ〜良かったぁ」


安堵の息を漏らす。


 小屋の中には肉や魚だけでなく卵や野菜や調味料などもあり食材は一通り揃っているようである。

 ここでの疑問は腐るのでは?やなんで小屋の中にある?などだが、そこも異世界ということで触れないでおく。きっと新鮮さを保つ魔法があるのだろう。便利だなー。


 食材の確認もできたので改めて家の外観を見てみる。


「すごく立派なウッドハウス」


 口にしてしまうぐらいに立派なウッドハウスだった。こんなに良い家を貰えたわけだし、もうここで悠々自適なスローライフを始めてもいいのではないだろうか?


ここでふと思い出す。


「そういえば神様が言ってたっけ、力を確認してねだっけ?確か"ステータス"って念じればいいんだよね」


("ステータス")


 そう念じてみると目の前に空間ウィンドウのようなもので私のステータスが表示される。



【名前】 未設定

【種族】 ???

【年齢】 18

【性別】 女

Lv.1

HP  10000/10000

MP  300000/300000


物理攻撃力:3000

魔法攻撃力:5000

物理防御力:2000

魔法防御力:4000

素早さ  :3000

運    :100(Max)


【コモンスキル】


【ユニークスキル】

 成長促進 変質

【エクストラスキル】

 解析鑑定 創造魔法 隠蔽偽装


【称号】 転生者 / 神の天敵



「うーん……これがこの世界でどのくらいのレベルなのか基準が分からないからなんとも言えないなぁ」


 数字の桁からなんとなく強い方の部類だろうとは思うが、如何せん第一村人にも遭遇してなくこの世界のレベルを知らないので油断は禁物である。


「というか、【名前】未設定ってどういうこと?【種族】も???だし。てか、この称号何? 神の天敵って物騒すぎるでしょ。何かに巻き込まれそうなフラグの匂いしかしないよぉ」


 こうして不穏な気配を感じながら異世界生活はスタートするのであった。

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