私的異世界生活は順調です?
伊集院 藍癒
はじまりの異世界生活編
異世界へご招待されました
「ただいまー」
誰もいない部屋にそう呟く。
社会という大きな波に逆らわないように日々を過ごしていくうちに、私の心は死んでいった。
家に帰るとブラウスとパンツだけの姿になり、グラスにロックアイスを入れてバカルディを注ぐ。
ソファに深々と座り、酒をチマチマ飲みながら、私の意識は遠のいていった。
◆
目を覚ますと知らない天井……ではなかった。
真っ白な空間に私はいた。どこまでも続いてそうなその空間に私はひとりポツンと座り込んでいた。
(もしかして……天国かな?)
心の中でそう呟いた時
『せいかーい!!』
ビクッ・・・心臓が口から飛び出そうになった。いきなりどこからともなく大声が聞こえればこうなる。
「誰!?もしかして神様ってやつですか?」
声の主にそう問いかけてみる。
『うーん。まぁそんな感じです』
「そんな感じ...って」
ハッキリとしない答えである。
何故か真っ白な空間にはその神様?の声が響いてる。姿は見えないが声が幼い少年のような感じなので勝手に姿を想像する。
『あなたは死にました』
「……はぃ?」
唐突にそんなことを言われた。
いや、なんとなくは予想した………
けど口にして言われるとなかなか来るものがある。
確かに過労で倒れてもおかしくないくらいは働いていたと思う。特に目的もなく働いていたがせめて死ぬ前に親孝行のひとつでもしたかったものだ。
『あなたは異世界に転生できます』
「……え〜っと.....ん?」
また唐突にそんなことを言われた。異世界?アニメとかラノベでよくある展開である。
これで神様に特別なスキルを貰えれば間違いなく王道だ。
『あなたに特別な力を授けましょう』
………うん。もう何も言いません。受け入れましょう。
『その力で成り上がるのもよし、悠々自適な生活をするのもよし、あなたの自由です』
(私の自由...かぁ......)
私は苦笑してしまう。
確かに社会という大きな波に囚われていた私にはいい環境かもしれない。
何にも縛られない自由な生活、悪くないのでは?そう思ってしまった。
『では、異世界に転生させます。森の中に転生させますが生活ができるように環境は整っているので心配いりません』
ありがたい話である。というか、さっきから私は素直に話を受け入れすぎな気がする。もっと抗議をしてもいいのではないか?
『最後に一つだけ、授けた力の見方は"ステータス"と念じれば見られるので向こうに着いたら試してね』
その言葉を最後に私の意識はスゥーっと遠のいていった。
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